14世紀半ば、元王朝が中国を統治していたが、 モンゴル至上主義、漢民族差別政策に恨みを抱いていた漢民族が、モンゴル王朝を倒そうと考え、挙兵の日を書いた紙片を月餅の中に入れて配った。 示し合わせたその日に一斉に蜂起し、ついに朱元璋が元王朝を倒し、明が成立した。日本では一年中月餅が売られているが、中国では旧暦の8月15日が近づいてくると「月餅,歓迎訂購」月餅予約承ります「月餅上市」月餅を売り出しますという広告があちこちで見られ、月餅を親戚、友人に贈り合い、 異郷にいる家族にも届けるという習慣は今でも残っている。数多くの月餅が作られ、売られている。薄くて脆い皮が幾重にも重なったパイ皮のもの、木型に入れて整形するので皮が少し固めで、 表面に「嫦娥奔月」などの絵や「豆沙」などの字が入っているものもある。餡はクルミ、瓜子仁(西瓜の種)などナッツを入れた百果餡や五仁餡、 ポピュラーな豆沙餡(小豆餡)、蓮蓉餡(ハスの実餡)など。中に鹹蛋(塩漬け卵)の卵黄を入れたものもある。また、これらの甘い月餅のほかに、叉焼臘腸(チャーシューと中国腸詰)、紅焼乳鴿(仔バトの醤油煮込み)など 甘くない餡の入ったものも作られている。ほかに、植物性の油や材料のみで作った精進の月餅もある。