エスコフィエ校
1998.3.16-3.31


満開の花に彩られ、初々しい笑顔とどこか寂しげな微笑みが交錯することに、日本の春との違いはありませんが、物狂おしさよりは、のどかさを感じてしまいます。29日深夜には、冬時間から夏時間に変わり一挙に日も長くなりました(時差7時間)。リラックスした雰囲気とはいえ、来期生受け入れのための準備は佳境に入ってきています。



湯川先生のお菓子食べ歩き旅行

<謎の卍(万字)の旅 ・ ガトーバスク>

3月24-30日にピレネー山脈をはさんで存在するバスク地方に行ってきました。バスクには山のバスクと海のバスクとがあり、今回訪れたのは海のバスクのサンセバスチャン(スペイン)とビアリッツ・バイヨンヌ(フランス)です。

そのバスク地方の代表的なデザートにガトーバスクがあります。

これは砂糖とバターがたっぷり入った練り込みパイ生地を型に敷き、そこにカスタードクリームを詰め、同じ生地で蓋をしてオーブンで焼き上げたものです。カスタードクリームの代りにサクランボのジャムを詰めたものもあります。

何がなのか? 自分自身、何回もこのお菓子を作る機会に巡り合い,その度に菓子の表面に模様として描く模様にはどんな意味があるのだろうという疑問が頭から離れませんでした。これがこの旅のそもそもの発端でした。

まずスペインのサンセバスチャンの製菓店を見て回りましたが、その模様は無く、すべて格子模様でした。しかしお店に聞いてみると、描くこともあるそうで、その意味は「四つの頭」すなわちバスクのサンセバスチャン、ビルバオ、ヴィトリア、パンプローナの4都市の象徴ということでした。それからビアリッツ、バイヨンヌに向かったのですが、そこでとうとう卍模様の入ったガトーバスクを見つけました。

その意味を聞いてみますと Croix de Basque(バスクの十字架)を表しているとのことでした。ただ絶対に描かなくてはいけないものではなく、波・格子模様などもあり、いろいろなデザインを楽しんでいるようにも見えました。いずれにせよこのバスク地方に根づきお菓子に描かれる模様に、なにかバスク人の誇りのようなものを感じました。(万字)は世界各地に存在し意味もさまざまで、吉祥や美徳を象徴したり、また太陽が光りを放っている状態を表わしたり、右万字は幸福と豊穣を表わし、左万字は逆に死を表わしたりと諸説も多いようです。

湯川記




トピック

<フランスで医者にかかるには?>

大きな病院の救急病棟以外はふつう電話予約が必要です。また、一種のホームドクター・システムのようなものがあり、歯医者、目医者を除く専門医にかかるにも、まず一般医と呼ばれる町医者の診察を受け、紹介状をもらい、改めて専門医に予約して、やっと受診、という段取りを踏むのが一般的と思われます。これで面倒だと思っていたら、フランスで医者にはかかれません。

予約をしても30分以上待たされるのはざらで、専門医の予約も詰まっていることが多く、よほど緊急を要さない限りここではもっと待たされます。診察が終わっても医者は薬をくれません。医薬分業の進んだこの国では、医者がくれるのは処方箋だけで、薬は薬屋に、レントゲンや血液検査は検査場に、やはり別々に行かなければなりません。

町医者にヤブが多いのは日本と変わりませんが(!?)、日本でも救急医療で問題になっている病人のたらい回しが、ここでは町医者と専門医の間で緩慢に行われることも多く、死亡原因の第三位に盲腸が入ってしまうのも、むべなるかなというところです。

いわゆる「西欧の医療先進国」なるものにフランスが入っていないことだけはどうも確かなようです。







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