同じアジアの大地に住みながら、日本という島国で日常生活をしていると、他の国の文化はなかなか見えてこないように思えます。言語や服装はもちろんのこと、食習慣においても、かなり味の好みの違いがあるようです。
例えば、タイ国のバンコクを旅行したり、仕事の関係で生活をしたことのある人ならば、はっきりとその違いを体験していることでしょう。タイ料理の魅力は、「辛味」、「塩味」、「甘味」、「酸味」という4つの味が大きなウエイトを占め、これに香りの材料である数々の生のハーブやスパイス類が加わり、絶妙な味のハーモニーを作り出しているところにあります。
またベトナムにおいては日本と同じように南北に長い地理条件のため、北のハノイと南のホーチミン、それに中部のフエでは、それぞれに味の違いができてくるのは当然のことでしょう。北ハノイでは昔から中国との国境問題が絶えず、料理にもその影響がかなり色濃く出ているように思われます。また南のホーチミンは緯度から見ても明らかですが、お隣の国カンボジアやその隣のタイ国と同じように、暑さに適応できる料理が目立って多く見受けられるような気がします。
今回の旅行記は、経験の浅い私一個人の目でしか捕らえていませんので、現地で長く生活をしておられた人々には反論される部分も多々あるかと思いますが、ご了承ください。
また、新たにアジアに向けて興味を持たれた方にも、何かのご参考になれば幸いです。
三木 敏彦