■『ギッド・ミシュラン』の歴史 ●今年の『ミシュラン・ガイド』の巻頭には、創刊100周年を振り返る特集が組まれている。また、業界誌『テュリエス・マガジン・ガストロノミー』118号にも同様の特集があったので、ここで少しご紹介したい。 『ミシュラン』といえば、現在では、レストランの星の増減をめぐって論争が起こるほどの影響力をもつレストランガイドとして広く認知されているが、もともとの前身は、1900年にフランスの大手タイヤメーカー「ミシュラン」が、自動車や2輪車(現在の自転車の前身)ドライバーのために無料で配布していた小冊子。創刊当時は、主要都市からの距離、郵便局や電話の有無、ホテルやガソリンスタンド、自動車修理工場などの所在を町ごとに紹介するほか、タイヤの仕組みから、チューブの交換、空気圧の調整方法までを網羅した、いわゆるドライバーズ・マニュアルだった。創刊者のエドワールとアンドレ、ミシュラン兄弟は、当時こう語っている。 「このガイドブックは新しい世紀とともに現れ、そしてこの世紀とともに生きるだろう」 ミシュラン兄弟の予想した通り、このガイドブックは今年でまる1世紀の歴史を築いた。正確には1921年と2度の世界大戦の間(1915-1918、1940-1944)には発刊されなかったので、2000年版は創刊第91号となる。 創刊後まもなく、ヨーロッパ中へとその範疇を拡大していった『ミシュラン』が、最初にレストランの紹介をはじめたのは1923年。その当時は、いくつかの大都市のレストランを、3段階のカテゴリーに分類するというスタイルで、現在のような星によるレストランの格付けが始まったのは3年後の1926年のことだった。まずは地方の優良レストラン46軒が1ツ星に選ばれ、その2年後の1931年に初めて2ツ星、3ツ星レストランが登場した。 戦争が終結した後、以前のように3ツ星レストランが復活したのは1951年だった。以下は、この年3ツ星として復活したレストラン7軒。 また、2000年版からフランス編はタイトルも『ル・ギッド・ルージュ』と改名。それぞれのホテル、レストランに2行ほどの短いコメントがつくようになり、より詳しい情報が得られるようになった。 |