お客と料理人の関係
永山
ある有名な料理屋のオヤジさんがよくいうことに、おいしいなと思ったら褒めなくちゃならない。昔はおいしいなと思ったらお客さんが料金とは別にお金を包んだらしいのです。料理人はお客に評価されるということで自信がついてくるんです。そういうことって大事だと思うのです。つまり、料理はお客さんが育てるんです。単に味覚だけではなくて、経験・教養・社会的な地位などが舌に出てくる。こういう舌を持ったお客をどうやったら喜ばせられるかということで、料理人が一生懸命になるんです。そこでおいしい料理がはじめて登場します。素材によって同じ料理を作っても味が微妙に違います。その違いすらも腕のいい料理屋さんというのは感じさせないような持ち味を出します。今ではこんな料理屋さんが減ってきましたね。