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エスプリ |
お菓子
小話 |
シュゼット嬢のクレープ |
解説 |
19世紀前半に活躍した料理人アンリ・シャルパンティエが、モナコ のカフェ・ドゥ・パリというレストランで働いていた頃のこと。ある日、イギリスの皇太子が食事に来た。デザートは殿下が召しあがったことのないものをということで、クレープに香り高いお酒をいっぱいかけて作った。ほの暗い部屋に紫色の炎に包まれたクレープ、ブランデーやリキュールのかもし出すデリケートな味。殿下はお気に召した
様子で、名前を尋ねた。シャルパンティエはクレープと言いかけたが、ややおいて「クレープ・プリンスでございます」と答えた。クレープだけなら田舎菓子、シャルパンティエのとっさの機転だ。それに対して殿下は「プリンスよりシュゼットのほうがいいね」と同席して
いた令嬢にささやかれた。彼女の名はシュゼットだった。なんともうまくできたお話だが、このデザートの創案、シャルパンティエではな
いという人もあり、真偽のほどはちょっと? |
国
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フランス
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出典 |
食卓のエスプリ「フランス料理の本 デーザート」/辻静雄著 |
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