香辛料
 
種類 写真 解説

シナモン(肉桂)

Cannelle(仏)
Cinnamon(英)

スリランカ(セイロン)が産地。高さ10mになるクスノキ科の常緑高木の成木を伐採し、切り口から生えてくる若い枝を採取し、表面の薄皮をむいて乾燥させたもの。特有の香りの主要成分はシナミックアルデヒド。丁字やナツメッグに含まれるオイゲノールも含むので、それらとの相性はよい。シナモンによく似たものに中国、ベトナム、インドネシア産のカシアが輸入されている。カシアはシナモンより木の皮の厚みが有って固い。粉末にすると区別しにくいが、香りは強く粗く、辛味や酸味を感じ、色は赤褐色。シナモンの方が上品で繊細な香りがする。

ナツメッグ&メース(にくずく)

Muscade(仏)
Nutmeg/Mace(英)

ナツメグとメースは、どちらも12〜16・以上になる常緑樹の果実から取れるもので、果実の殻の中に入っている核がナツメグであり、殻の周りを覆っているオレンジ色の仮種皮がメースである。熟すと底の部分が割れて種が地面に落ち、これを収穫する。メースは殻からはずしして乾燥させ、メースを取った後の果実は数週間乾燥させて、その中にあるナツメグがカラカラと音がなるまで乾いたら取り出す。
英語のナツメグとは、nut(豆)とmeg(ジャコウ、ムスク)、つまり“ムスクのような香りを持つ豆”と言う意味がある。ナツメグ、メースとも香り・味は似ているが、メースのほうが上品な香りと少々の苦味がある。
モルッカ諸島原産で、主な産地はインドネシア、スリランカ、マレーシア、西インド諸島。日本に出回っているのはインドネシア産が多い。この他、シャウ島産もわずかながら輸入されており、品質がよいと言われている。

カルダモン(しょうずく)
Cardamone(仏)
Cardamon(英)

サフラン、バニラ・ビーンズに次いで高価なスパイス。ショウガ科の多年生草本で高さ2〜5・になり、花が咲いた後に0.5〜1・の楕円形の緑色の実がなる。この中には黒や焦げ茶色のゴマ粒ほどの種が20個ほど入っており、この種に樟脳に似た清涼感のある香りや味がある。粒の形がしっかりしていて、完熟した黒色の種が風味がよい。スリランカやインドの標高750〜1500・の熱帯雨林が原産地で、主要生産地はインド、セイロン島、そしてインドから苗を持ってきて栽培をはじめたグァテマラなど。タンザニアやベトナムなどでも栽培されている。主な輸出先はサウジアラビアや北欧で、サウジアラビアではコーヒー豆と一緒にローストしてカルダモンコーヒーを作り、北欧はシナモンのようにパンや焼き菓子によく使用する。
日本に流通しているのはインド産のグリーンカルダモン。外国ではサヤを漂白して白くしたホワイトカルダモンや、インドでしか使われていない大きくて茶色のビックカルダモンもある。また、カルダモンとは本来品種が違う類似品が日本に出回っている。セイロンカルダモンと呼ばれる2.5〜4・にもなる長いものやタイやスマトラに自生する円形のものがあり、グリーンカルダモンより安くて品質は劣る。シナモンシュガーのように砂糖と混ぜたり、肉類の臭み消し、カレーパウダー、ピクルスなどに使われている。香りを生かすためには、使用直前にサヤから種を取り出すようにする。
アニス(八角)

Anis etoile(仏)
Star anise(英)
中国南部とベトナム原産で、8・になるモクレン科の大茴香(だいういきょう)の果実。中国とベトナムの国境地域に自生しており、中国、ベトナム、インド、インドシナなどで栽培されている。果実は熟すにつれて、八角の名の通り星のような形に開いて、8個の袋果ができ、それぞれに光沢のある種が入っている。これを袋果ごと完塾前に摘み取って天日乾燥させて作られる。香りの主成分のアネトーネは、各袋果の皮に含まれており、その中に入っている種には含まれていない。植物的には異なるがセリ科のアニスやフェンネルの主成分同じなので、甘い香りはよく似ているが、やや苦味と渋味が感じられる。これらの中では八角のアネトール含有量が一番多く、香りが強いので、アニスやフェンネルの代わりに使用するならば、量を少なめに市他方がよい。
クローブ(丁字)

Ciou de girofle(仏)
Clove(英)
インドネシアのモルッカ諸島原産の、12〜15・になる常緑低木に咲く紅色の花の蕾を乾燥させたもの。花が咲くと花に栄養分を取られて香りがなくなるので、花が咲く直前の成長しきった緑色の蕾を摘み取り、天日で数日間乾燥させて作る。茎が明るい赤茶色で、先の蕾が薄い赤茶色をして、ポキッと折れるものが品質がよい。トンカツソースの主要香味成分として馴染みがあるこの香りの主成分は、オールスパイスやナツメグの主成分と同じオイゲノールで、すがすがしさの中にもバニラのような強い甘い香りがある。生産量が一番多いのはインドネシア。
19世紀後半に作られた丁字入りのタバコ(ガラムタバコ)が現在も人気で、世界生産量の約半分がこのタバコに使用されているためで、輸入量、消費量も世界一である。インドネシアの他、タンザニア、スリランカ、マレーシア、グレナダなどでも生産されている。日本にはタンザニアのザンジバル島産と、少量のマダガスカル産が年間約300トン輸入されている。香りの違いはわずかである。

 参照:シェフ (chef・40)
   発行:1998年9月20日 秋号VOL40
    定価:3600円
   発行所:イマージ株式会社


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