郷土料理第四弾は江戸です。
徳川家康が江戸に幕府を開いて以来400年、江戸(東京)は日本の中心都市です。ところが、その食の実態は、一般にあまりよく知られていません。現在、東京にも「江戸料理」を売りにしているお店はあまり多くはありません。会席料理を中心とした高級な料理屋は、どこも関西料理で、江戸料理というものはほとんどないに等しいといえるでしょう。
こうなった理由は、関東大震災で多くの料理屋や料理人がダメージを受けたため、関西の料理が東京に進出したからだと言われています。そこで、手間隙かけた細工的な 関東料理がだんだんと姿を消し、代わりに、シンプルで素材の味を生かした関西料理が広まりました。関西料理は時代の好みにも合っていたので、関東の地にも根付いて
いったのです。今や幻となりつつある江戸料理とは、どんなものか。どういう歴史を持つのか。今回は、食文化史研究家の永山久夫氏にお話を伺いつつ、江戸料理の本質に迫ります。