はじめに
杉浦
この度は、江戸料理について、いろいろお話をお伺いしたいと思います。まず「江戸料理」の定義というのは何でしょう?
永山
江戸料理というのは、上方料理に影響を受けつつ地物の材料を使いながら江戸独自に発達した料理だと思います。江戸料理が確立するのは大体、文化文政のころ(1804〜1829年)です。今、一般的に日本料理というと会席料理ですよね。これは基本的に武士が作った料理ですが、その後、経済力をつけた町人達が、いろいろな要素を取り入れて、これに負けないような料理を作り上げました。ただ、江戸時代は「藩」という概念はあっても「日本」の国全体という意識はないので、「日本料理」という言葉はありません。日本という国の名前を意識しはじめるのは明治に入ってからです。
ところで、会席というのは、もともと酒を飲むときの料理です。基本的に、武士の風流・風雅というようなものを根底においた料理です。町人はさらに遊びの心を入れていきます。お客にも料理に関する知識を持つ者が出てくるので、出す方も一生懸命に勉強するようになりました。
杉浦
料理を比較する場合に、関西の料理・関東の料理といういい方をよくしますが、関東料理を江戸料理といっていいのでしょうか?
永山
いいと思います。
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