料理と健康
永山
今までグルメ一辺倒だったのが健康思考になっていっていますよね。高齢化の影響でしょうか。
アメリカのシンクタンクが50年後の人類の平均寿命を予測したデータがあります。そのときも日本がトップで男女とも93歳だというのです。現在、女性が84歳で男性が77歳ですよね。93歳まで生きられる可能性は2/3だそうです。逆にそこまで生きられない可能性は1/6くらいだろうと予測を立てたのです。今現在の食生活と医療技術の水準の高さを計算して出した結果だと思うのですが、今の若い人たちはそんなに長く生きられないと思います。むしろ、短命になるでしょう。彼らは買い食いが多く、甘味の強い清涼飲料水をよく飲む。しょっちゅう食べたり飲んだりしているので、長生きできないと思います。日本人の今の十代はアメリカの十代よりもコレステロール値が高いというデータもあります。これから料理を学ぶ人は技術や感性を磨くだけでなく、歴史や健康も学ばなくてはならないでしょう。
これからは情報の時代です。単に食べ物を食べるのと、どうやったらおいしいのか、どういう成分が含まれているからどう料理して食べたらよいかを分かって食べるのとは、全然違うと思います。そういう情報を持っている人は健康管理がうまくなるはずです。これから医療費の自己負担も老人医療費も増えます。今後、どうやって健康で長生きするのか大きな問題です。こんな中、ひとつの出発点が江戸料理だと思います。
「食」というのは単に味だけではなく、健康維持という点でも大切になっていきます。これからは消費者に分かりやすい形で辻調理師専門学校さんも学校としてなんかの形で食がらみの新しい情報を提供していくことが大切でしょう。食材の見分け方を知っているわけですからね。社会的に役に立つ時代となっていきます。