calvados(カルヴァドス)
カルヴァドスは、りんごを原料にしたブランデーで、フランスのノルマンディー地方の特産酒である。なかでも、中心部の優良産地、ペイ・ドージュ地区で生産されるものは、別格扱いされ、銘醸ワインや、コニャック、アルマニャック同様に、アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ(略称A・C)法の規制を受けてつくられる。蒸留には、単式蒸留機の使用が義務づけられている。そして、製品には、”アペラシオン・カヴァドス・デュ・ペイ・ドージュ・コントローレ(AppellationCalvados du Pays d’Auge Controlee)”のA・C表記をする。一般にカルヴァドスと考えられている酒のなかでの一級品と考えていい。このペイ・ドージュ地区周辺の10の地区で生産されるブランデーは、1941年のアペラシオン・レグルマンテ(略称A・R)という法律で規制されていたが、最近A・Cに昇格した。ただし、ペイ・ドージュとちがって、蒸留にはアルマニャュク同様に、半連続式蒸留の使用が認められている。ただし、認定された一地区だけで生産したものは、”アペラシオン・カルヴァドス・デュ・コタンタン・レグルマンテ”というふうに、地区名をつけられる。したがって、単に”カルヴァドス”というA・C表記の場合は、複数の地区のものをブレンドしたものと考えていい。以上にあげた地区以外のノルマンディー、ブルターニュ、メース地方でつくられるりんごのブランディーは、A・R名で売られるが、蒸留には、連続式蒸留機の使用が認められ、かつ中性アルコールをブレンドすることが許されている。 |
世界の名酒事典 ’91年版
発行日:1990年12月6日
編集:講談社
定価:3400円