辻調グループ創設者・辻静雄の著作をシリーズで復刊する辻静雄ライブラリーの第３弾は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した、フランス料理史に残る偉大な料理人エスコフィエの評伝です。エスコフィエは調理場の組織や作業システムを改編して新しい時代の客が求める迅速なサーヴィスを可能にし、フランス料理を再構築して現代へとつなぐ役割を果しました。また、フランス料理のバイブルとも称された金字塔的著作『ギッド・キュリネール（料理の手引き）』を残しています。そうした華やかな業績に加えて、料理人の地位向上をめざし、部下を厳しく育てながらも温かく見守り、社会保障制度の充実に心を砕いたという人間的側面も描かれています。フランス料理の歴史を振り返る上でも、料理人の果すべき役割を考える上でも、今、手に取ってみたい１冊です。
＜解説・鹿島茂 氏＞

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