CAREER

パティシエに
向いているのはどんな人?

適性を知ろう

ケーキやチョコレート、焼き菓子、冷菓など、さまざまなお菓子を提供して人を笑顔にする「パティシエ」という仕事。「なりたい職業」でも上位にランクインする人気の職業です。そんなパティシエの仕事に向いているのはどんな人なのでしょうか。長く活躍するためには、何を身につければよいのでしょうか。この記事では、パティシエの仕事への適性について解説します。

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ケーキやチョコレート、焼き菓子、冷菓など、さまざまなお菓子を提供して人を笑顔にする「パティシエ」という仕事。「なりたい職業」でも上位にランクインする人気の職業です。そんなパティシエの仕事に向いているのはどんな人なのでしょうか。長く活躍するためには、何を身につければよいのでしょうか。この記事では、パティシエの仕事への適性について解説します。

パティシエに向いている人

粉、卵、砂糖、バターといった限られた材料から、思いもつかないようなさまざまな味と形のお菓子を生み出すパティシエの仕事。 魅力的な一品をつくるには、多彩な技術が駆使されています。技術を身につければ、その人の感性で自由に創造できる楽しさは、パティシエの仕事の魅力といえるでしょう。
一方、華やかなイメージの裏で、日頃の努力が必要な世界でもあります。パティシエとして現場に出てからスキルを伸ばしていけるのは、どんな人なのでしょうか。たくさんの卒業生を送り出してきた辻製菓専門学校の伊藤快幸先生、瀬戸山知恵美先生に聞きました。

お菓子が好きで、お菓子づくりに興味がある

食べるのが好き、つくるのが好き、何よりお菓子が好きで興味がつきないこと。パティシエとして働くうえで、好きという要素は、仕事を続けていくための重要な要素といえるでしょう。

瀬戸山「お菓子が好きで、誰かにつくってあげたい、食べてほしい、喜んでほしい、と思うのはベースですよね。製菓学校の学生の言葉でもいちばん聞く言葉です。自分のつくったお菓子で幸せになってほしい、笑顔になってほしいという気持ちが、一番根底のところにあるもので、パティシエの仕事にもっとも必要なものだと思います。」

正確さと丁寧さ

お菓子づくりには、仕上げをしたり細工をしたりといった細かい作業が含まれます。これらはきれいなお菓子を仕上げるために必要なことで、計量などの正確さやきっちり作業できることが求められます。

瀬戸山「例えば、三角に切ったお菓子の大きさが違う、絞った絞りの大きさが違う。正確さや丁寧さがなければ、きれいなお菓子ができません。こういったことができるように、学校では日々繰り返し練習をおこないます。」

得意なことを見つけて磨いていける

得意なものを見つけ、磨いていけることができれば、ほかの人にはない専門性を身につけることができます。

瀬戸山「お菓子をつくるその中でも、自分の好きなものや得意な作業を見つけられると、それは強みになります。好きだったら練習する。もっと上手になりたいと思うと思うので、好きなことを見つけてほしいと思います。あれもこれもではなくとも、1つに決めたことを積み上げることで、人よりも秀でたものを1つつかむことができ、それが強みと自信になっていきます。

つくるだけじゃなく、お客さんと接するのがすごく好き、パソコンでお菓子の絵を書くのがすごく上手など、直接お菓子をつくることとは関係ないことでも、どんなことでもつながっていきます。」

パティシエになるために
今やるべきこと、できること

パティシエになるには、お菓子が好きという気持ちや経験のほかに、どんなスキルや能力を身につければよいのでしょうか。

いつでもアンテナを広げておく

お菓子やパンは自分の思うまま、自由自在にかたちをつくることができ、これがおもしろさでもあります。だからこそ、デザインや造形のセンスも求められます。お菓子だけでなく料理全般に興味関心を広げることはもちろん、日頃からアンテナを広げ、自分の感性を磨くことも大切といえるでしょう。

瀬戸山「センスや感性という言葉は、難しく聞こえるかもしれません。ですが、パティシエになろうと決めた時点で、一歩踏み出すことができています。

できないことばかりでなく、今までできたことを考えてみる。お菓子の仕上げや旬のフルーツに興味を持つことからでもいい、色々なことに興味を持つこと。そういったことを続けて、自分だけの感性を大切にしていってほしいです。」

好きなものに対しては積極的に知識を集めることができ、それらを仕事のアイデアにつなげていくことができるでしょう。

コミュニケーション力を磨く

辻製菓専門学校の伊藤快幸先生、瀬戸山知恵美先生は、これから製菓の現場に飛び込むにあたって学生に身につけてほしいのはコミュニケーション力だと言います。

瀬戸山「自分から何かを発信したり、積極的に何かを得にいく姿勢も大切です。皆とても勉強熱心なのですが、自分から積極的に動くのは難しいものですよね。こうした状況を改善するために、学校では、最初の授業で自分たちのルールを決めてもらっています。

学校はみんなが快適に学ぶためにあるもの。友だち同士がうまくコミュニケーションを取るためにはどうすればいいか、みんなでルールを考える取り組みをしています。たとえば、わからないことがあったときにどういう聞き方をすればお互いに有意義になるか、といったことですね。パティシエの仕事においても昔は、こうでないといけない、ということもより強かったように思いますが、今は、仕事の幅もすごく広がっています。たくさんの選択肢からやりたいことがかなうチャンスが増えていると思います。『失敗しても大丈夫』と肯定的にものごとを伝えたいと思っています。」

自分から発信するコミュニケーションの基本は、「挨拶」です。社会に出て仕事をするためには、そうした基本が大切です。

伊藤「製菓の世界でも、仕事は『人と人』でするものです。ですから、挨拶や返事をするといった基本的なコミュニケーションができるようになってほしいですね。」

基礎的な製菓の知識と技術を身につけておく

パティシエとして長きにわたって活躍するためには、センスやコミュニケーション力が必要ですが、それらは基礎的な製菓の知識と技術が身についていることが前提です。おいしいお菓子をつくるための理論や知識、それを形にするための技術は、パティシエにとってもっとも重要です。

瀬戸山「学生には、自分の武器になるものを探すのが大事と伝えています。今日の実習ではこの作業が早くできただとか、どんなことでもいいので『これはほかの人よりもうまくできた』と思えることをできるようにしよう、と声をかけています。」

知識については製菓理論だけでなく、衛生管理についてもしっかりと身につけておきましょう。パティシエの仕事は、おいしいお菓子を作って提供するだけではありません。お客様が安心してお菓子を口にできるよう衛生管理をすることも大切な役割の1つです。

安全にお菓子を提供するための知識を身につけることで、製菓店やホテル、レストランなど場所を問わず活躍することができます。

「好き」な気持ちを
大切にしてほしい

パティシエを目指す中で、お菓子を食べることが好き、つくることが好きという気持ちがある人は、まず製菓の世界に飛び込んで、そこから目標を見出しても遅くはありません。

瀬戸山「辻製菓専門学校の学生の多くは、『自分が何をしたいか』『どんなパティシエになりたいか』、入学した当初から明確な目標を持っているわけではありません。

クラスの中にはもともと『世界で活躍したい』『コンクールに出たい』という具体的な目標を持って入学してくる学生もいますが、多くの学生は学校で学ぶうちに少しずつ自分のスタンスが確立されて、どんなパティシエになりたいかが定まっていきます。」

伊藤「パティシエに向いている人の特徴として、『食べることが好き』というのは1つの判断基準だと思います。おいしいか、おいしくないかは食べてみなければわかりません。食べることが好きで、味の探究ができることが1つの条件なのではないでしょうか。

また、この仕事の喜びややりがいの1つに、自分がつくったお菓子で誰かを喜ばせることが挙げられます。自分がつくったお菓子を『誰かに食べてもらいたい』と思える人、『おいしい』と言われることに喜びを見出せる人はパティシエ向きですね。たとえうまくいかなくても、もう一度つくってみよう、おいしいお菓子で人を喜ばせようと思える人は、この仕事にやりがいを見出すことができるでしょう。

一方で、どんな仕事でもそうですが、ただ楽しくお菓子をつくるだけではなく、当然うまくいかないこともあります。また、自分で納得がいくお菓子をつくるためにはたくさんの経験と知識の引き出しが必要です。自分が『おいしい』と思っても、お客様に受け入れられるかどうかは別。地道な努力が必要な仕事で、続けなければ見えないことが多いのもパティシエの仕事の特徴です。

『好き』な気持ちを大切に、チャレンジをし続けてほしいですね。」

パティシエに向いているのは、何よりも、「お菓子が好き」で「自分がつくったお菓子で誰かを笑顔にしたい」と考えている人。たとえパティシエとしてのキャリアステップや目標がいま決まっていなくても、製菓の知識と技術を学んでいくうちになりたい姿が見つかることもあるでしょう。「好き」な気持ちがあるのなら、思い切って製菓の世界に飛び込んでみましょう。

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