CAREER

パティシエの仕事の
やりがいとは?

「お菓子を食べるのも、つくるのも好き」「自分がつくったお菓子で人を幸せにしたい」。そんな思いから、将来パティシエになることを夢見ている人もいるでしょう。ハレの日もケの日も、人々のそばにあるお菓子。それをつくって提供するパティシエの仕事は、とてもやりがいのあるものです。実際にパティシエの道を選んだ人たちは、この仕事のどんなところに魅了され、どこにやりがいを感じているのでしょうか。

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「お菓子を食べるのも、つくるのも好き」「自分がつくったお菓子で人を幸せにしたい」。そんな思いから、将来パティシエになることを夢見ている人もいるでしょう。ハレの日もケの日も、人々のそばにあるお菓子。それをつくって提供するパティシエの仕事は、とてもやりがいのあるものです。実際にパティシエの道を選んだ人たちは、この仕事のどんなところに魅了され、どこにやりがいを感じているのでしょうか。

パティシエの仕事を
魅力的に感じたきっかけ

辻製菓専門学校を卒業し、現在は指導者として教壇に立つ伊藤快幸先生、瀬戸山知恵美先生。これまで多くの学生を製菓業界へ送り出してきた先生は、製菓の道にどんな魅力を感じたのでしょうか。

オープンキャンパスでお菓子をつくって興味が湧いた

伊藤「父が機械関係の仕事をしていたこともあり、私も機械をいじることが好きで、将来は技術系の職種に就きたいと思っていたんです。大学は理系の学部を目指して受験しましたが、不合格。一浪しても合格できなかったとき、『自分に何ができるだろう』と考えたのが、料理の道でした。両親が共働きで、昔から炒めものやカレーなどちょっとした料理なら自分でつくっていたので、おもしろそうだなと思ったんです。ですが、私は魚をさばくことに抵抗があって……。

ちょうどその頃、テレビで辻調グループの製菓のコマーシャルが流れていました。当時、お菓子をつくったことはありませんでしたが、興味が湧いたのでオープンキャンパスに行ってみたのです。オープンキャンパスではオムレット(ビスキュイの生地を丸くのばして焼き、クリームや果物をはさんで2つ折りにしたお菓子)の実習があって、初めてお菓子をつくってみたのですが、なんとなくうまくいく。それで、自分もこの道でやっていけるのではないかと思って、門戸を叩きました。それが製菓の道に踏み出したきっかけですね。

実際に入学してみたら、お菓子のつくり方は知らないことばかりですし、出てくるケーキも見たことがないようなものがあって、あらゆるものが新鮮でした。

現在は製パンの道に進んで、辻製菓専門学校で製パンを教えているのですが、そのきっかけとなったのは辻製菓専門学校での授業です。授業の中で焼きたてのフランスパンを試食して、ものすごくおいしかったのです。それまで抱いていたフランスパンのイメージが変わって、こんなにうまくつくれたらおもしろいだろうと思い、パンの道に進みました。」

母親がつくる手づくりのお菓子が、製菓の道に進むきっかけに

瀬戸山「私が小さな頃から、おやつは母の手づくりでした。それを見て、自分も将来お菓子をつくる仕事に携わりたいと思ったのです。

高校2年生のときに製菓の専門学校のパンフレットを取り寄せたのですが、その中でも辻製菓専門学校のパンフレットはほかのどの学校よりも惹かれるものがあって、キラキラして見えたんです。当時は地方に住んでいて、都会に出る楽しみとお菓子を勉強する楽しみで、パンフレットを見ていました。

お菓子作りを始めた頃は有名なお菓子屋さんが周りにあるわけではなかったので、ショートケーキやシュークリームのような身近なお菓子を上手につくれるようになりたいと思っていましたね。

実際に辻製菓専門学校に入学してみると、イメージしていた以上に目の前でお菓子をつくって見せてもらえる。それを見て、実習で実際につくることができて、本当に楽しかったです。

当時と比べたら、現在の校舎は設備もよくなっていますし、いまの学生はお菓子をつくるのが上手だと思います。」

パティシエとしてのやりがい

お菓子づくりのおもしろさや、パティシエとしてのやりがいは、どんなところにあるのでしょうか。

お菓子づくりはサイエンスに近いおもしろさがある

製菓の道を志す前は料理にも興味があったという伊藤先生。料理とは違った製菓ならではのおもしろさを次のように話します。

伊藤「お菓子は材料を正確に計って、きっちり作業をしていかなければできません。レシピはあらかじめ決まっていて、それを組み立てていくようなイメージですね。材料があって、それをどう組み合わせるかでできあがりが変わっていきます。

料理の場合は、お菓子のように分量をしっかり計ってレシピどおりにつくらなければできないということはありません。塩梅であったり、さじ加減であったり、素材によって工夫をしていくものです。

お菓子のほうがサイエンスに近いように思いますね。特に、製パンにはそういった要素があります。」

できないことができるようになる達成感がある

どんな仕事でも、自分の成長を感じられたり、達成感を得たときに、強くやりがいを感じるものです。パティシエの仕事も同じです。

伊藤「今までできなかったことができるようになる。これは達成感につながりますね。製菓の技術が上がっていく、お菓子をつくるのがうまくなっていると実感できると、充実感につながります。」

チームワークでつくりあげる

大規模な製菓店やホテル、レストランなどで働くパティシエは、大勢でチームとなって1つのお菓子をつくりあげていきます。そうした、チームワークでつくりあげる醍醐味を感じられます。

伊藤「職人が何人もいるところで働けば、チームワークでお菓子をつくることもあります。そこで先輩から褒めてもらえたら嬉しいでしょうし、何よりチームでつくりあげたお菓子を見たらうれしいですね。それがおいしくできたら格別です。

辻製菓専門学校でのふだんの実習でも、一人ですべての工程をまかなうわけではありません。チームに分かれて実習を行っていく中で、みんなで作業を分担して声を掛け合いながら、全員が一丸となってスムーズに作業が進めばやりがいを感じられるでしょう。

なかなかコミュニケーションのとりかたが難しく、当然うまくいかないこともあります。私も学生からどうしたらうまくいくか相談を受けることがありますが、相手にどう伝えるか、言い方も含めて勉強だと思っています。」

お客様の「おいしい」と喜んで食べてくれる姿が見られる

パティシエにとって、何よりもやりがいを感じられる瞬間とは、自分がつくったものを誰かが「おいしい」と喜んで食べてくれる姿を目にしたときではないでしょうか。

伊藤「たとえば、小さなお子さんがお菓子を買いにきて、嬉しそうに持ち帰る姿を見るとよかったなと思いますよね。お客様から『美味しかったよ』と言葉をかけられる瞬間が一番、やっていてよかったと思う瞬間なのだと思います。

大変なことも多い仕事ですが、お菓子をつくった先に「おいしい」「またこのお菓子を食べるためにがんばろう」と喜ぶ人がいる。パティシエは人に夢や希望を与えるようなすてきな仕事です。」

瀬戸山「私は、お菓子は誰かの幸せの隣にあるものだと思っています。学生によく話すのですが、すごく不機嫌で、怒った顔をしてお菓子屋さんに来る人って、想像できませんよね。

お誕生日や誰かへのお礼、自分へのご褒美。お菓子は自分や誰かのために買うものです。それが私たちパティシエの仕事のすばらしいところだと考えています。」

自分がもっともやりがいを
感じられる道を選ぼう

瀬戸山「仕事のやりがいは、本人が何をしたいか、どうなりたいか、目標によって異なります。『どこに行けばやりがいを得られるか』ではなく、自分は心の中で何を求めているのか、どんなことを喜びと感じるのか、自分のうちにあるものを理解して、それにあった働き方や職場を選んでほしいと思います。

学生には、小さなことでもいいから目標を持とうと伝えています。日々の目標でもいいですし、1年後、10年後の目標でもいい。最終的には未来に目標を置いて、何をしたらそこに近づけるかを考えられるといいですね。

日々の大変さに目標が見えなくなったら、頑張っている自分にご褒美をあげましょう。お菓子を食べたらいいんです。」

誕生日や記念日を祝うケーキや、がんばった自分をねぎらうため、自分自身を応援するためのスイーツ。お菓子がある場所には、笑顔があります。お客様の幸せに寄り添うお菓子をつくるパティシエの仕事には、さまざまな魅力とやりがいがあります。

製菓の分野で自分は何がしたいのか。どんな場所で、どんな人に向けてお菓子をつくりたいのか。自分の中の理想のパティシエ像を見極め、パティシエとしての進路を選ぶことがやりがいにつながります。

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