2020年度 第1回 エコール 辻 東京 教育課程編成委員会
エコール 辻 東京は、2020年10月24日(土)、今年度1回目の教育課程編成委員会を開催しました。今回は「マネジメント教育のさらなる充実のために」をテーマに、宮城大学食産業学群 教授の石川伸一氏、金沢の日本料理 銭屋 御主人の髙木慎一朗氏、東京のフレンチレストラン・レフェルヴェソンスのエグゼクティブシェフ 生江史伸氏、東京の株式会社うかい 製菓部長 鈴木 滋夫氏を、学外委員としてお招きし、現カリキュラムにおける店舗経営を通じたマネジメント教育の改善のために学校はどのようなことができるかを議論しました。
まず、議論の前段として、辻製菓技術マネジメントカレッジ(二年制)の2年生における、マネジメント教育の実体を、現在実施している授業の内容やその「学習目標」、「評価方法」を通じて、学内委員が紹介しました。
具体的には、学校に併設された実店舗「アトリエ 辻 東京」における、菓子やパンの製造実習、販売実習、販売する製品の開発実習、販売に必要なディスプレイやラッピング、接客、原価計算などを学ぶ講習や演習について、何をどこまで学び、どのように評価しているかを説明しました。
こうした説明を通じて、現状の授業概要を把握した学外委員からは、多くの貴重なアドバイスを頂くことができました。そのいくつかを以下に挙げます。授業の内容については、
「単に原価計算を知識として習得するだけでなく、実店舗において、売り上げ上位を占める商品は何か、その原価率はいくらか、そこでの利益はどのくらいか、といったリアリティある数字として授業に反映することが重要」
「基礎科目で培った知識を、いかにリアリティをもってマネジメント関連の科目とリンク(連動)させることができるかが大事」
「自分たちの仕事にいくらコストがかかっているのか、といった経営視点を養うことも重要」
といったご意見を頂きました。また、評価方法については、
「興味・関心を抱き、問題を発見する力を評価できれば、なおよい」
「店側の一方的な押しつけではない、お客様目線になれたかどうかを評価したい」
といったコメントを頂きました。
ところで、今回は「アトリエ 辻 東京」を教場とする製菓二年制のカリキュラムを例として議論を進めましたが、同じく二年制の辻調理技術マネジメントカレッジでも、マネジメント教育の充実については、同様の姿勢が求められるということが、今回の委員会での議論の大前提にはあり、製菓のみならず調理系のカリキュラムの改善にもこうしたアドバイスを役立てることになります。
そして、学外委員の方々から頂いたご指摘、ご提案をしっかり受け止め、学科名称にもなっている「マネジメント」を実際に店舗経営に役立つ力としてさらに充実した形で獲得できるよう、カリキュラムの改善を進めていく所存です。
なお、今年度の第2回教育課程編成委員会は、年明け2月に予定しており、さらに議論が深められるように、早速準備に入りたいと思います。
辻静雄料理教育研究所 迫井千晶