【半歩プロの西洋料理】食卓を彩る フラワーアレンジの魔法!
こんにちは!
辻調理技術研究所 サーヴィス担当で園芸部副部長の秋場です。
これは何かわかりますか?
マンゴーです。昨年夏、サーヴィスの授業で、フルーツカッティングの一つとしてマンゴーのカッティングを行いました。常夏のフルーツなので、きっとダメだろうと思いながらも、その種を土に植えてみました。そしたら1週間くらいで小さな芽がでて、写真は半年たった今(25㎝位)の姿です。鮮やかな緑の葉をいくつもつけて成長していく姿はけなげで、かわいく、癒されます。いつの日か、「あべのマンゴー」の収穫を夢見て、お水と日光をたくさん与えて毎日の世話を楽しんでおります。
これからの季節、新緑も鮮やかになり、お花もたくさん咲きます。お花や緑があると、気分が晴れやかになったり、心を癒してくれたり、その空間を華やかにしてくれたりと不思議な力があると思いますが、皆様はどう思いますか? 何らかの形で、お花や植物で癒されたりした経験が皆様にもあると思いますが、お花がある食卓は華やかで食事も楽しくなりますし場もなごみます。しかし、レストランの食卓では、お花を飾り付けるには料理と同じようにいろいろな配慮が必要です。今回は、ティーチングアシスタント(TA)で園芸部部長の瀬尾さんに、食卓を飾るお花のお話をしていただきます。
部長、よろしくおねがいします。
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辻調理技術研究所 フランスイタリア料理研究課程の
ティーチングアシスタント(TA)の瀬尾のどかです。
私が技研に入学し、1年間レストランサーヴィスを勉強し、
TAとして学生と共にシュミレーション実習を繰り返す中で、
テーブルセッティングはお客様を迎え入れる為の大切な仕事だという事を実感しました。
テーブルの上には、クロス・カトラリー・グラス・ナプキン・食器・飾り花などを、
食事のシーンに合わせて選択し、セッティングしていきますが...
その中でも...!今回は私の大好きな"花"にスポットを当てて、
「 フラワーアレンジメント 」に挑戦してみました!
まず、レストランに飾るお花を選ぶ上で注意しなければならない点は、
* 独特な匂いを持つものや香りの強いものは避ける
* 料理の色に調和する色味を選ぶ
* 花粉や花弁が落ちやすいものは避ける
以上のことに気を付けながら・・・ 今回使用したお花がこちら!
スプレーカーネーションや、スプレーバラを中心とし、
このコラムを書いているのが12月だったので、
クリスマスを意識して赤や緑の花も選んでみました。
こちらが"オアシス"と呼ばれる吸水性スポンジ!
フェノール樹脂という素材でできていて、水を含ませると、98%が水、2%が樹脂へと変化します。
その為、保水性に優れ、花を長持ちさせてくれます。
花を置いても土がこぼれる心配もないので食事の場に飾るのに適しています。
使用する1時間前には水に浸して中心までしっかり吸水させ、
使いたい器に合わせて、カットし、動かないように固定させます。
他にも、リース形の物や、ブーケホルダー形の吸水性スポンジもあります。
では、実際に花を飾っていきます。
花を大きな枝から離して、短く切っていきます。
はさみは枝に対して斜め30℃くらいの角度で当てて、
断面積が広くなるように気を付けながら切ります。
茎や枝の断面が広いと、たくさん水を吸うので、花が長持ちしてくれます。
そして、全体のバランスを見ながら、花を飾っていきます。
中心の一点を決めて、そこに集中するように花を生けることがポイント!
枝がスポンジの中で交わってぶつかったり、
何度も同じところに挿し直すのはNGです。
色合いや全体を見ながら、花の高さを合わせて、どんどん生けていきます。
完成したのがこちら!
日本の生け花は、正面を決め、片側は見せない前提で作ることが多いのに対し、
西洋では、どの方向から見ても楽しめるように制作されることが多いです。
このように360度どこから見ても、花を楽しめるように、
まあるくきれいなドーム状にするのがポイント!
全体を見て、花の隙間から緑の吸水スポンジが丸見えにならないように、
気を付けながら花を埋めていきます。
そして作った花を、実際にレストランのテーブルに飾っていきます!
テーブルに飾る上でのポイントは、
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花にあまり高さを出さないこと
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グラスとの位置関係を気にしながら食事の邪魔にならない場所に置くこと
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テーブルの上だけにとらわれず、レストラン全体を見て置くこと
このようにシンプルな空間も、花を飾ると・・・
とても華やかな印象になりました!
今回は、水を入れたグラスの中にも浮かべて飾ってみました!
ガーベラは色のバリエーションも豊富で、比較的長持ちしやすいのでオススメです!
そして、花だけでなく、クロスやナプキンの色、
カトラリー、飾り皿、メニュー等を工夫することで、
よりテーブルの上を演出することができます。
今回、作ってみて感じたことは、いつも扱っている野菜や果物と同じように、
同じ種類の花でも大きさや色味が異なること。
扱い方、飾り方次第で、傷みやすくなったり、長持ちしたり...
組み合わせ方で全然違うものができたり... 料理と通じる所が沢山ありました。
花それぞれの自然の美しさを生かしながら、デザインを考えていくのは非常に奥深くて、
もっともっと花について、テーブルコーディネートについて、知りたいと思いました。
普段は花を扱う機会は少ないですが、これから増やしていけたらと思います。
花を飾ることで、レストランの雰囲気を良くしたり、季節感・特別感を演出できたり。
目の前に綺麗な花があるだけでいつもの何気ない食事が、特別なものに感じられるかもしれません。
花に触れる機会は少ないかもしれませんが、皆さんもぜひ1輪からでも始めてみませんか?
このコラムを読んで、少しでも花に興味を持っていただけたら嬉しいです。
ありがとうございました!