COLUMN

食のコラム&レシピ

【好吃(ハオチー)!中国料理】スープをとってみよう!

06<中国>好吃(ハオチー)!中国料理!

2011.08.24

<【好吃(ハオチー)!中国料理】ってどんなコラム?>

夏もそろそろ終わりに近づいてきましたが、まだまだ暑い日が続いています。暑さで食欲が減り、体調を崩しやすい時期です。
冷たいものが欲しくなるところですが、あまり冷たいものばかり食べていると逆に体調が悪くなってしまいます。

そこで今回は温かいスープ、旬のトマトを使ったさっぱりとしたスープをご紹介したいと思います。

さて、スープ料理を作るにあたって必要なのが、もちろんスープです。スープといっても顆粒スープの素を利用して作ったり、缶詰の濃縮スープに水や湯を加えてのばすなど色々なものがあります。こういったものは便利で簡単なのですが、今回は「清湯(チンタン)」というスープを作って料理に使いたいと思います。

「清湯(チンタン)」の「湯(タン)」とは日本の「だし」、フランス料理の「フォン」にあたる、全ての料理の味のベースとなる中国料理の「スープ」を指します。そして、そのスープを使って仕上げた「スープ料理」のこともいいます。

では、この「湯」に「清」という字がつくとどのような意味になるのでしょうか?
「清」とは「きよい」という意味で、つまり「清湯」とは「濁りのない、澄んだスープ」のことをいい、鶏がらスープに挽肉を足して味を高め、濁りを取り除いて澄ませて作ります。
学校の授業でも清湯を使うことがよくあるのですが、昔、とるのを失敗して怒られた苦い思い出のあるスープです。そのときは肉をかき集めて追い足しをし、何とかとり直すことが出来ました。今でも清湯をとる時は「ちゃんと澄むのかなぁ」と心配になることもしばしば。

「清湯」をとるときの成功、失敗の差はスープの澄み加減で決まります。

c0001.jpg
左:失敗  右:成功

見た目にはっきりとわかるように左右で透明度が全然違います。当時はあまり理解していなかった為失敗しましたが、ポイントさえしっかりおさえていれば清湯をとることは難しくありません。
分量、作り方はこちら↓

清湯

清湯をとるときのポイントは以下の通りです。

まずは材料についてです。
ささ身(鶏胸肉でもよい)、豚モモ肉(赤身肉ならよい)を用いますが、家庭でミンチにするのは大変だと思います。手軽に作るには市販の挽肉を使用します。但し、市販の挽肉は脂身が多いものもあるので、なるべく脂身の少ないものを選んで下さい。脂身が多いとスープが濁りやすく、味が薄くなります。
普段学校で清湯をとる時には、水ではなく鶏がらスープを使用しています。先ほど書いたように「鶏がらスープに挽肉を足して味を高め、濁りを取り除いて澄んだスープにする」のが清湯です。水からとるより、味があるスープに肉を加えてとったスープのほうがおいしくなるのは当たり前です。しかし、家庭で鶏がらスープを取るのは大変なので、先ほど挙げた「清湯」レシピの中では、肉の量を増やして水からとっています。鶏がらスープからとる場合はもう少し肉の量を減らしてもOKです。但し、鶏がらスープを使用する場合、鶏がらスープがあまりにも濁っていると清湯が澄みません。鶏がらスープは濁らないようにとりましょう。

次は作り方についてです。
ミンチに水もしくは鶏がらスープを加えながらしっかり練ります。ダマが出来やすいので水分は少しずつ加えます。しっかり練って滑らかなペースト状になると、残りの水を加えて混ぜ合わせるのです。このようにすると、溶きのばしやすく、加熱したときにきれいにミンチが固まってスープの濁りを吸着してくれます。
次に鍋に移して加熱します。鍋底の方から肉が固まってくるため、底に焦げつかないようにやさしく混ぜます。あまり激しく混ぜると濁りやすいので注意。細かい肉の塊が全体に浮いてくるぐらいの状態になるまで混ぜてください。

c0002.jpg

写真のような状態になったら、表面が少し沸いているくらいの火加減で煮詰めていきます。あまりぐらぐら沸かしすぎると濁ります。
最後に漉す時も、静かに漉しましょう。

今までに何度も清湯をとってきましたが、失敗した原因の多くは肉の脂身と鶏がらスープの状態でした。この場合、味はおいしいのですが、見た目があまりよくありません。今回のようなスープ料理はきれいに澄んだスープで作るととてもきれいな仕上がりになります。料理は味も大切ですが、見た目も重要です。ぜひ、一度は「清湯」にチャレンジしてみて下さい。一手間かけるだけのおいしさがあります。

そして、今回使うメインの材料はトマトです。トマトは中南米のアンデス高地が原産といわれています。日本に入ってきたのは17世紀頃、食用にされ始めたのは明治時代で、本格的に栽培が始まったのは昭和になってからです。


トマトの赤色は「リコピン」という成分によるものです。リコピンには有害な活性酸素の働きを抑える強い抗酸化作用があります。その為、がんや動脈硬化などを予防する効果が高いといわれています。酸味のもとであるクエン酸は胃の働きを活発にするとともに、疲労物質の乳酸を除去し、疲労回復を促進します。食欲の減退する夏にぴったりの食材です。


今回使用するトマトはフルーツトマトというものです。「フルーツトマト」とは「高糖度トマト」の呼び方のひとつで、水や肥料を極端に制限するなどして充実した果実をつけさせたものをいいます。樹につけたまま完熟させ、果実は従来のものより小さいですが、1.2~1.5倍の糖度があり、その力強い風味はフルーツに近いものになります。


今回の「フルーツトマトとささ身のさっぱりスープ」では少し甘みを入れたほうがより美味しくいただけます。しかし、砂糖を足すとくどく感じるので、今回は普通のトマトより甘いフルーツトマトを使い、自然な甘みを加えています。普通のトマトでも美味しいのですが、手に入ればフルーツトマトを使ってみて下さい。


季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ですが、「フルーツトマトとささ身のさっぱりスープ」を飲んで乗り切りましょう!!

担当者情報

このコラムの担当者

池田和司

このコラムのレシピ

フルーツトマトとささ身のさっぱりスープ