【日本料理一年生】 33時間目 鯖のホイル焼き
本年度の料理一年生は、5回に渡って「背の青い魚」の中でも、一番馴染みの深い鯖を使った料理をご紹介しましょう。
今回は、鯖の身でポテトサラダを包み、アルミホイルで包んでオーブンで蒸し焼くという料理です。
これは、もともと、後藤金吉先生が考案された料理です。この方は「なだ万」というお店で30年間料理長として勤務された後、本校の日本料理主任教授に就任されました。「なだ万」時代に「料理手帳」という番組に出演された時、スポンサーがアルミホイルの会社だったため、アルミホイルを使った料理を作って欲しいという要望にこたえて考えられた料理のようです。
本校でも、実習の定番料理になっていますが、一人づつ三枚おろしの練習も兼ねる意味で、鯵を使って作っています。ポテトサラダは熱するとクリーミーになり、魚にバターの風味が移って若い人たちには好評です。過去約40年間の卒業生が、学校で学んだ印象深い料理の中でベスト3に入っています。
かつて、私がタイのバンコクの在タイ日本大使館の大使公邸料理人をしていた時、一人で何十人もの会席料理を提供することがありました。一人前づつ金串をさして焼き床で焼き上げるような料理は大変手間取ります。最初の方が食べ終わる頃に、やっと最後の方にお出しするようではいけないので、一度にたくさん仕上げられるオーブンを使った焼き物は重宝しました。この時「ホイル焼き」も作っていました。ただ、鯖や鯵だとあまり高級感がないので、大使公邸でのおもてなしとしては向きません。鯛や鮭などを使ってみましたが、こういった魚でもおいしく仕上がりました。会席料理の中の少し洋風な料理ということで、外国の方に大変好評でした。
●大使館での「ホイル焼き」のサービス。和紙でホイルを包んで水引をかけ、炭に茶葉をかけて煙を出しました●
外食すると、時々、ポテトサラダやこれに似たものを素材で包み込んで、焼いたり、蒸したりする料理を目にすることがあります。後で伺うと、この料理を作る料理人のほとんどか本校の卒業生で、「在校中の、実習のメニューを自分でアレンジしました。」という答えが返ってきます。
今回は、辻調グループ校において実習の定番で、多くの卒業生から卒業後も心に残る料理として上げられる「鯖のホイル焼き」を松島先生がレクチャーしてくれます。オーブントースターでもポテトサラダのポーションを小さくし、少し時間をかければ出来ますので一度お試しください。きっとあなたの心にも残る一品になるでしょう。
<このコラムの担当者>
タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
小谷良孝
辻調の御言持(みことも)ち
重松麻希
<このコラムのレシピ>
鯖のホイル焼き