【日本料理一年生】 38時間目 かやくご飯
本年度の料理一年生は、私たち日本人の主食である「ご飯」にスポットを当ててお話したいと思います。最初は、誰もが馴染みのある「かやくご飯」です。「かやく」といっても爆発する「火薬」ではありません。漢字では「加薬」と書きます。関東では「五目ご飯」といわれる「炊き込みご飯」です。
この「かやく」を小学館の『日本語源大辞典』で調べると、
◆中世頃には、文字通り薬を加える意から、付け合わせ、薬味の意としても用いられるようになったものと思われる。
◆米と、増量のために加えた混ぜ物をともに味つけして炊いたもの、すなわち、一般に関東で「五目飯」とよばれるものを、関西では「加薬飯」という(以下、省略)
などと書かれています。
「五目ご飯」の「五目」は、五種類の具材の意味もありますが、色々な具材が入り混じったという意味でもあります。
私の実家では「色ご飯」と呼び、具材はせいぜい牛蒡と人参、そしてなぜか竹輪が入っており、醤油を使って味付けした茶色いご飯でした。私にとっては「おふくろの味」(私の家は商家だったので、祖母が食事の用意をしていたため、実際には「祖母の味」ですが……)の一品です。祖母から「今晩は、色ご飯やで。」といわれると、なぜかルンルン気分になったものでした。
当時、祖母は、薪を燃やして使う、かまどを駆使して炊飯していたので、たっぷりの「おこげ」もできました。炊き上がっておひつに移した後、お釜の底に残った「おこげ」をおにぎりにしてもらって、頬張るのも楽しみでした。
「かやくご飯」を炊く時のポイントは、だし汁にちゃんと味付けをしてから、洗った米に混ぜることです。洗い米に、だし汁を加えてから調味料を加えると、塩が溶け残って部分的に塩辛くなることがあります。また、洗い米にだし汁が混じると味が見にくくなります。
「日本料理一年生」の6限目にお話した鯛ご飯のように、土鍋で炊かれるのも一興ですが、具材が多いと吹き上がりのタイミングが分かりにくいので、注意が必要です。
では、松島先生の作り方を参考に、おいしい「かやくご飯」をお作りください。
<このコラムの担当者>
タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
小谷良孝
辻調の御言持(みことも)ち
重松麻希
<このコラムのレシピ>
かやくご飯
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