【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】 和食の香りで日本料理
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●たけのこ木の芽和え●
皆さんは、料理の香りと聞いてどのようなものを思い浮かべますか?だし、醤油、焼き魚、焼き肉などが浮かんだ方もいらっしゃるでしょう。今回お話するのは、料理そのものの香りではなく「料理に添える香り」についてです。
料理に添える香りは、味をまとめたり、彩を添えたり、季節感を表現したり、食欲を増進させたりと、いろいろな役割があります。和食で使用する香りは数が多く、書き出すとキリがありません。最近では、西洋料理や中国料理で使用する香りも和食に取り入れるので、それらも含めると、とても沢山になります。
中でも「木の芽(山椒の木の若葉)」と「柚子」は和食を代表する香りです。以前にもお話しましたが、私は4半世紀ほど前、フランスのOECD代表部で公邸料理人として働いていました。このとき、この2つの香りが手に入らなくて困ったことを思い出します。
当時、フランスでは木の芽(山椒の木)や柚子の木が栽培されておらず、日本からの輸入もできず、代用を探すにも同じようなものはなく、本当に困りました。しかし、香りの食材がないから和食が作れないとはいえません。ない知恵を絞りながら、あれこれと工夫しました。日本に帰って来たとき、香りの食材を当たり前のように使えることが、とても嬉しかったのを覚えています。
山椒や柚子は、季節の移ろいに合わせて、多岐にわたる使われ方をするのをご存知ですか?たとえば......山椒の木は、春には若葉である木の芽を使い、その後、花山椒・実山椒・割り山椒(粉山椒)という具合に。柚子は花柚子から始まり、小さな実柚子・青柚子・黄柚子という具合に季節に応じて使います。
このように季節感を大切にする日本料理なので、木の芽や柚子が使えないとなると、とても厳しい状況であることが分かってもらえるでしょう。
ところで、皆さんは、普段からこのような香りを楽しんでいますか?柚子あたりは、12月の冬至に、柚子湯に入ることもあると思いますが、料理に添えることはいかがでしょうか?
案外、使われていないのではないですか?量販店の野菜売り場を覗いてみると、季節の香りのものが販売されています。一度、楽しんでみてはいかがですか?和食の香りが加わることで、普段、何気なく食べていた料理も、ずいぶん趣の異なった楽しいものになります。
さて、今回の料理はどのような香りでしょうか?楽しみですね!
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