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毎日新聞「美食地質学」 第13講 能登半島地震と富山湾の幸 ホタルイカ

新聞
美食地質学入門

2024.04.03

2024年4月2日(火)刊行の『毎日新聞・夕刊』に、「美食地質学」が掲載されました。

「美食地質学」は、食通のマグマ学者・巽好幸先生(ジオリブ研究所所長)と、辻調理師専門学校の教員が、地質学と美食の関係をテーマに、それにまつわるお料理とお酒を楽しみながら対談をおこない、理解を深めていくという企画です。

第13講のテーマは「能登半島地震と富山湾の幸 ホタルイカ」。
2024年1月1日、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震「令和6年能登半島地震」が発生しました。3か月経った今も多くの方が避難しており、漸く復興へ一歩踏み出せたかどうか...かというところです。北陸は関西から近く、縁のある人たちが身近に多くいて、とても他人事には思えません。巽先生は地球科学者という立場から、心を痛めることがあったそうで...。今回の「美食地質学」では、能登のメカニズムと豊かな海の幸ついて取り上げました。

>毎日新聞「美食地質学」第13講 能登半島地震と富山湾の幸 ホタルイカ
https://mainichi.jp/articles/20240402/dde/012/070/001000c(閲覧には会員登録が必要です)

今回の対談担当は、前回に引き続き、辻調理師専門学校の日本料理・松島愛先生です。


本当にたくさんの魅力的な食材があるんですと松島先生。
北陸では辻調の卒業生も多く活躍しています。
実力派の若手料理人も新たに進出しているのも、食と文化の面でこの地には魅力が詰まっているからなんですね。


ホタルイカと甘エビを主食材として用いました。
ホタルイカのこのぷっくりしたボディ。鮮度抜群。なかなか他の地域では手に入りません。

おいしいものをいただけることに感謝して、食べるときは能登の成り立ちに思いを馳せると、見え方も変わってきますね、と語りながら。
今回は、できるだけ食材そのものを活かすことを意識しました。


酒肴三種(手前)、造り替わり昆布〆(右上)、ホタルイカ炊き込みおこわ(左上)


それぞれ見ていきましょう。
酒肴三種は、ホタルイカ黄身酢掛け、甘えび粕漬、ホタルイカと甘えびのなめろうです。


ホタルイカ、甘エビ、そしてカジキマグロを昆布締めに。昆布締めは北陸、特に富山でよく見られる手法です。
造りには醤油が付きものですが、今回は煎り酒を添えました。


最後はホタルイカ炊き込みおこわと、甘えびすり流しです。
「仕事」をしすぎず、春を感じる色合いで、食材の魅力がぎゅっと詰まった優しい味わい。


調理を担当したのは、日本料理の竹本正勝先生です。
先生いわく、「食材の質がいいので、奇をてらうことなく、シンプルにお酒が進む味を意識したんですよ」とのこと。


サポートをしてくれたのは、乾鈴果先生です。
辻調に入職してから、初めての撮影のお仕事だそう。記念すべきデビューの日ですね!

合わせたお酒は、石川県 御祖酒造「遊穂の湯~ほっ。」です。
キュートなパッケージから受ける印象とは違い、熟成特有の深~い味に一同驚き。
御祖酒造さんは、お燗専用酒として造られているとのこと。燗酒にすると、巽先生も松島先生も、思わず唸る味わいでした。

お酒を選ぶにあたり、三井酒店(八尾市)さんのお知恵を拝借しました。
飲み方もレクチャーしてくださり、感謝申し上げます。

能登は酒どころとしても有名ですが、この度は多くの酒蔵がダメージを受けました。
辻調の職員の中にも、愛飲するお酒の蔵が被災したという話も。食べて飲んで支援、というとおこがましい気持ちにもなりますが、被災した現地の料理店の方いわく、無事な場所にはどんどん来てくださいとのこと。何よりこれほど美味しく優れた食が、関心を寄せないうちに失われていくのを見ているだけは、本当に忍びない。対談を経て、色々と気づかされる回となりました。