<校長×留学生>2017茶話会模様
12月11日の放課後に毎年恒例となった辻芳樹校長と辻調理師専門学校・辻製菓専門学校に在籍している留学生8名との茶話会がありました。国籍は韓国と中国の学生たち。
場所は辻調理師専門学校にある校長室で行われました。
開始前には、在校生が母国にいる家族との連絡方法の話に。LINEやFacetimeなど様々のようで、
そのまま和やかな雰囲気でスタート。
学生と校長との質疑応答の形で進んでいきます。
学生(国籍/中国・日本料理希望):
「今後、調理場にはどんどんAIが入ってきます。それは中国も同じで、一生料理人をやりたいと思っていますが、
どのようにすればいいのかと考えています。」
校長:「恐らく2030年以降はどんどんAIが入ってくるでしょう。大事なことは、料理の理論(ロジック)を理解すること。
なぜ大根の桂向きは必要なのか。模様?あしらい?なぜなのかをしっかり考え、言語化すること。それは人間にしかできない。
料理やお菓子に表す自身の哲学・考え、味、質、サービス、お客様の居心地などそれらを考え、伝えることが大切です。」
学生(国籍/韓国・日本料理希望):「卒業後は、母国に帰り懐石料理をやりたいと思っています。
現地の人に合わせたものではなく、学校で学んだ本物の日本料理をやりたいです。」
校長:「そもそも学校と同じものをそのまま海外で伝えることが正しいのでしょうか。考えてみてください。
何をもって本物というのか。日本でしかできない表現もあります。
日本料理の味、食材、創作、技術、味覚をしっかり勉強し、分析する、そこからの多様性を身に付けてください。
お客様に価値観を押し付ける料理人になるのではなく、あなたが思う本物の料理を表現しましょう。」
そこから、実習授業の内容で話が盛り上がり・・・
校長:「ちなみに、日本料理で大変だなと思う技法は何ですか?」
学生:「鱧の骨切りです。正直、大変だなぁと思ってしまいました 笑。」
校長:「なるほど。鱧の味は淡泊なため、味や魅力を最大限に引き立たせることを考慮すると、
料理の品数が実はあまり多くありません。だからこそ、骨切りがなぜ必要なのか、しっかり本質を知ってください。」
辻芳樹校長は、一貫して学生たちに「授業で教わったことをそのまま吸収するだけではなく、なぜそうするのか、理論・理由をしっかり考えてほしい」と強く伝えました。
最後に意見を述べた学生は、「革新的な料理・お菓子がある中で、伝統を学ぶ意味を考えています。もちろん必要なものだと認識しているのですが。」
これに対し校長は、「大事なことは2つ。1つ目は、伝統を受け継ぐこと。2つ目は、本質の価値観を見出し、いかにイノベーションにつなげるか。特に後者は本当に難しい。だからこそ、とことん考えるのです。それがみなさんの学びにつながります。」
西洋・日本・中国料理・製菓・製パンに共通する勉強の仕方、分析の重要性を強く学生たちに伝えました。
当初は90分の予定時間でしたが茶話会は大いに盛り上がり、2時間半で終了。
学生たちは終始校長の答えを真摯に受け止めており、改めて自身がするべきこと、学び、将来像を見つめ直すきっかけに
なったことでしょう。卒業後、母国に戻り、食業界で自分の哲学を表現し、貢献する素晴らしい料理人・パティシエとして
活躍してくれることを期待します。