和食の知られざる世界
私たちにとってはあまりにも当たり前の和食。しかし、ひとたび世界に視点を移して和食を外から見つめなおし、そのなりたちを時代を遡って考えてみると、そこには思いがけない世界が広がっている。懐石料理から寿司、天ぷら、蕎麦、すき焼き、お好み焼き、そしてラーメンまで、職人たちの熟練の技が織り成す多様性こそ、和食の大きな魅力である。歴史的に見れば、中国の影響を受けながらもそれを咀嚼し、打ち寄せる西洋文化の波を吸収し、変容し続けてきた和食は、グローバル化の中でさらなる変容をとげようとしている。ボーダレスとなった食べ手の味覚の変化が、今や和食に大きな影響を与えている。和食を受け入れようとする世界に向って、私たちはどう発信していくのか。また、この素晴らしい料理文化を世代を超えてどう伝えていくのか。世界の食の現場を調査研究し、料理とも、作り手とも、常に真摯に向き合ってきた著者ならではの、既成の枠にとらわれない21世紀の和食論。
目次
序章 和食の驚くべき広がり
第一章 「カリフォルニアロール」は和食か?
第二章 和食はそもそもハイブリッドである
第三章 「美食のコーチ」の必要性
第四章 和食の真髄が見える瞬間
第五章 ニューヨークで本格懐石を