【ビバ!!ベバレッジ】中米コーヒー農園を訪ねて グアテマラ編2
グアテマラ編の第2回は、前回のコーヒーの栽培と収穫に続き、収穫した豆の精製について紹介する。
グアテマラのコーヒー豆は畑の標高により品質の評価がされており、低地より高地のほうが高品質とされる。理由は、2つある。1つ目は高地では湿度と温度が低く、実がゆっくりと成熟し、濃厚な味わいの豆ができること。2つ目は標高1,350mから1,800mの高地では土地の傾斜が強く土壌の水捌けが良いので、水分の少ない固い豆(種子)ができること。生豆(きまめ)の水分量が少ないと焙煎(加熱)時に熱が均一に伝わり易く、安定した商品を産することが出来る。
<豆の精製法>
グアテマラの精製法は水洗式(ウォッシュト)と呼ばれ、果肉を取り除いてから発酵槽で内果皮を取り除き、水路を通して水で洗浄する方法。精製工程で不純物や欠点豆が除かれ、精製度が高いので、生豆は高い価格で取引きされる。
ただし、この精製法には豊富な水が必要で、人や設備にも費用がかかる。グアテマラの高地の農園は地下水が非常に豊富で、今回視察した農園のように、代々農園を経営をしてスペシャリティコーヒー(希少価値の高いコーヒー)を産する経営の安定したところが多いので、この方法を採用できるのだろう。
1 不純物の除去
まず収穫したコーヒーチェリーを鉄格子の上に広げて下の貯水槽に落とす。ここで水に浮いたゴミや葉などを取り除くと共に、水に浮いた豆は2級品として選別する。水に沈んだ豆は品質が高い。
貯水槽
2 果肉の除去
次に、選別した豆の外皮(果肉)を機械で取り除く。除去された外皮は畑の肥料として再利用される。標高の高い農園では畑に傾斜があり土が流れてしまうので、外皮はその土を補う貴重なものとなる。
果肉除去機(外皮を取り除く機械)
3 発酵
内果皮に残った果肉(ぬめり)を取り易くするために発酵槽(水)に浸ける。
発酵槽
4 水洗
豆を水路に流しながら、ぬめりや汚れをとる。水路は曲がりくねっていてとても長い。
水路1 最初のうちは、ぬめりや汚れのためにかなり水が濁る。
水路2 この写真は水路の最後のほうで、ぬめりや汚れがとれて水が透明になっている。
5 乾燥
内果皮を取り除いた豆を天日または機械で乾燥させる。コーヒーの木の種類や産地により乾燥(熟成)させる期間が違う。
天日の乾燥場
天日で乾燥させる場合は、均一に乾燥するように豆を混ぜる必要がある。
また自然の中で干しているので石などのゴミが入る。これはのちほど電子選別機で除去する。
乾燥機(横型)
自然環境に左右される天日乾燥に比べ、機械乾燥は天候に左右されず均一に乾燥する事が出来る。
乾燥機の燃料にはガスや木材が使われる。縦型もあるが品質に影響はない。
6 選別
乾燥した豆を重量ごとに選別し、異物を取り除く。
風力選別機
台の左側が高くなっていて台全体が常に揺れており、大きく重い豆は高い左側に寄っていく。
こうして豆の重量(大きさ)によって選別する。
電子選別機
ベルトコンベアーで運ばれてくる生豆に混じった石や金属などの有害物を除去する。
7 袋詰め
生豆となったコーヒー豆は、麻袋(マタイ)に入れられ出荷を待つ。
<グアテマラの視察を終えて>
グアテマラの農園で印象深かったのは、大人に混じって子供が収穫を手伝っていたことだ。
どの子も笑顔で親や兄弟と収穫していた。
現地の人々が生活する住居
収穫などに従事する現地の人々は非常に貧しい生活を余技なくされている。コーヒーチェリーの収穫期は約2カ月間。収穫を終えた人々は別の産地へ移動する。農園主は働き手を確保するため住居などの環境維持に努めているというが、現地の人々が収穫したコーヒーチェリーは1kg摘み取っても約6円にしかならない。このコーヒーチェリーから精製、焙煎されたコーヒー豆が日本で1kgあたり8,400円にもなる現状を、グアテマラのコーヒーを焙煎、抽出する度に想い出している。