【ビバ!ベバレッジ】エスプレッソコーヒーとミルクの出会い
街中のコーヒーショップやカフェなどでは、カプチーノやカフェ・ラッテなどコーヒーを使ったドリンクが豊富に提供されています。
今回はお店での作り方を紹介します。「こういったドリンクを家庭でも作りたい」という方の参考になると思います(私もずっとそんな希望を持っていました)。
お店のカプチーノやカフェ・ラッテは、エスプレッソコーヒーを使用しています。マシンを使ったイタリアで一般的に親しまれているコーヒーです。香りが強く濃厚な味が特色で、20~30ml前後の少量をカップに抽出します。
このエスプレッソコーヒーを美味しく作るポイントとしては、コーヒー豆の鮮度(焙煎してからの日数が短いものが良い)に加え、メッシュ(挽いた豆の細かさ)、タンピング(挽いたコーヒー豆をホルダーに入れてプレスすること)の力加減、抽出時間(長すぎると雑味が出て、短いと香りが弱く味に厚みがない)のバランスが取れていることが大切です。
液面にコーヒーの油分と水分が乳化した模様が浮いています。これがおいしいエスプレッソコーヒーの状態です。
おいしいエスプレッソコーヒーができたら、次はミルクです。カプチーノには空気を多く含ませる「フォームドミルク」、カフェ・ラッテには空気を含ませない「スチームドミルク」を使います。
エスプレッソコーヒーを使ったバリエーションコーヒーの一番のポイントは、ミルクを適切な温度に加熱することです。ミルクは63℃前後に加熱すると本来の甘さがもっとも強くなります。さらにフォームドミルクの場合、空気を含ませる技術もポイントになります。
「フォームドミルク」
①冷えたミルクをピッチャーに適量入れます。
*ミルクは冷えていなければ、スチーム(空気)を含みません。
②エスプレッソマシンのスチームノズルをピッチャーの底まで差し込み、スイッチを入れてスチームを注入します。
③ピッチャーを下げてノズルのスチームの噴出し口をミルクの液面に近づけます。
*ミルクの液面はスチームの勢いによって少しへこんでいますが、ピッチャーに注いだミルクの高さまでスチームの噴出し口を近づけていきます(スチームの噴出し口はミルクから出ています)。この状態になると空気が多く抱き込まれ、ミルクが豊かに泡立ちます。
*「チュルチュル」と高い音がすれば十分空気を含んでいます。
④ミルクの量が少し増したら、スチームノズルをピッチャーの壁面に移動し、ミルクの中ほどまで沈め、ミルクを適温(63℃前後)まで温めます。
*ノズルをピッチャーの端にすると自然に渦ができて、泡が細かくなめらかになります。口当たりの良いカプチーノやエスプレッソ・マッキャート、ラッテ・マッキャートにするには、この作業が大切になります。
⑤温度は、温度計を使って測ります。慣れればピッチャーの外側を手でさわって確かめることも出来ます。
適温になったら、スチームをOFFにします。
⑥ピッチャーを大きく回して、ミルクの泡と液体を混ぜます。
*スプーンで混ぜると泡が消えやすいので、ピッチャーを回して混ぜ合わせます。
「スチームドミルク」
①冷えたミルクをピッチャーに適量注ぎます。
②スチームノズルをピッチャーの底まで差し込み、スチームを注入します。
③適温(63℃前後)になればスチームをOFFにします。
このミルクとエスプレッソコーヒーを使ったドリンクを紹介します。
カプチーノには2種類あり、一般的にイタリア式をウェットカプチーノ、シアトル(アメリカ)式をドライカプチーノと言います。
Wet Cappuccinoウェットカプチーノ
①カプチーノカップにエスプレッソコーヒーを抽出します。
②フォームドミルクのピッチャーをよく回転させて液体と泡をしっかりと混ぜ、エスプレッソコーヒーに注ぎます。
Dry Cappuccinoドライカプチーノ
①カプチーノカップにエスプレッソコーヒーを抽出します。
②フォームドミルクのピッチャーの注ぎ口にスプーンをあてて液体だけをエスプレッソコーヒーに注ぎます。この上に残ったミルクの泡をスプーンでのせます。
Caffe Latteカフェラッテ
①グラスにエスプレッソコーヒーを抽出します。
②スチームドミルクをエスプレッソコーヒーに注ぎます。
Espresso Macchiatoエスプレッソ・マッキャート
①エスプレッソカップにエスプレッソコーヒーを抽出します。
②少量のフォームドミルクをエスプレッソコーヒーに注ぎます。
Latte Macchiatoラッテ・マッキャート
①エスプレッソカップに少量のフォームドミルクを注ぎます。
②エスプレッソコーヒーをピッチャーに抽出し、フォームドミルクに注ぎます。
エスプレッソ・マッキャートとラッテ・マッキャートは、カプチーノよりもミルクが少なく、コーヒーの味が強いドリンクです。
入れる順番を変えただけですが、スプーンで混ぜずに飲むとエスプレッソ・マッキャートは先にコーヒーがきて後にミルクの味、ラッテ・マッキャートは先にミルクがきて後からコーヒーの味がします。この微妙な味わいの違いに、コーヒーに対するイタリア人のこだわりがうかがえます。
紹介したドリンクは業務用マシンで作成しました。
家庭用のエスプレッソマシンではスチームを出す圧力が弱く、フォームドミルクを上手く作れないとの言葉をよく耳にします。この点を解消する器具として、専用ポットにミルクを入れて電子レンジで温め、そのまま泡立てられる器具もあります。
泡が入った状態。ボリュームが倍以上増えて見えます。
上のほうに泡、下には液体がたまっているのがおわかりでしょうか?ウェットカプチーノやマッキャートを作るときはこの泡を液体に混ぜ込んでから加えます。
ここで紹介したコーヒードリンクは、シロップ、氷、エッセンス、酒類などを加えると更にバリエーションが広がります。香りや味わいのバリエーションを広げるには、元となるエスプレッソコーヒーの品質を高めることが大切な点となります。
また、カップやグラスも出来上がったコーヒードリンクの味わいを大きく変えます。カップやグラスに厚みがあると苦味や渋味がやわらかく感じられ、厚みがないと強く感じられます。また、厚みがない方が温度は熱く感じます。この点も工夫してみると、飲み心地の良いドリンクを作成することが出来るでしょう。