【ビバ!!ベバレッジ】グラスの魔法
今回から2回にわたって、ワインにまつわるお話しをさせていただきます。
一般的に、ワイングラスの大きさや形の違いでワインの香りや味わいが変化することは、あまり知られていません。ワイングラスといえば、脚付きグラスをイメージされる方がほとんどではないでしょうか。近年では脚のないワイングラスも世に出回るようになり、ワイングラスへの消費者意識が高まってきているように感じます。
脚なしワイングラス
今回はボルドーグラスとブルゴーニュグラスで、味や香りの違いをみていきます。
ボルドー、ブルゴーニュとは、言わずと知れたフランスの地方名です。
(左)ボルドーグラス
(右)ブルゴーニュグラス
ボルドーグラスはボウル部分が縦長になっており、ワインの香りが直線的に立ち上がります。そのため、複数のブドウ品種を使用したワインに向きます。
一方で、ブルゴーニュグラスはバルーン型と呼ばれる丸い風船をイメージさせるような形です。ブルゴーニュグラスはその形状から香りをグラスに溜めることができるため、単一ブドウ品種のワインに向きます。
味わいの違いとして、ボルドーグラスは飲み口の部分が広く、口の中で広がるようになっています。ブルゴーニュグラスは飲み口の部分が少し絞られていて、舌の中心に落ちるようになっています。
グラスはそれぞれのワインが持っている長所と短所を補うような作りになっているのです。
ワインとグラスの組み合わせを考えてワインを提供しているお店ばかりではありません。少しお店の方を困らせてしまうかもしれませんが、以上のようなことを知っておくことで、お店でグラスワインを注文する際にワイングラスのリクエストもできるのではないでしょうか。
お店で料理とワインを楽しむときの注意を付け加えておきます。どんなに美味しいワインと上等なワイングラスがあったとしても、自分の口元の汚れでそれらを台無しにする人をよく目にします。「口元の汚れ」とは、食事中の唇に付いた油分などの汚れのことです。油分などの汚れがグラスに付着すると、グラスの中のワインの味や香りを壊します。そればかりではなく、汚れたグラスがあると周りの人に不快な思いをさせてしまいます。まめにナフキンなどを使って、口を汚さないことです。
そういうわけで、ワインの香りや味はグラスによって魔法に掛かったように変化するのです。魔法の正体は人の努力や向上心なのかもしれません。
もし機会がありましたら、グラスによってワインの味わいが変化する魔法、ぜひ体験してみて下さい。