【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】 干物で日本料理(にしん)
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●身欠き鰊●
今回、身欠き鰊のコラムを書くにあたり、どのような内容にしようかと、しばらく考えあぐねてしまいました。とりあえず、キーワードになるようなものを拾い上げてみると、次のような項目が思い浮かびました。
◎鰊御殿 ◎鰊蕎麦 ◎身欠きの語源 ◎鯡 魚にあらず ◎数の子 ◎北前船 ◎身欠き鰊の戻し方 ◎春告げ魚 ◎春の季語 ◎子持ち昆布・若布
さて!これらのキーワードから何を取り上げるか。 これがまた悩むところで...... 。皆さんが興味を持ってくれるかどうか分かりませんが、今回は「鰊蕎麦」と「身欠きの語源」について書いてみます。
まず「鰊蕎麦」ですが、発祥は京都にあるお蕎麦屋さんで「松葉」というお店だといわれています。京都は今でこそ、流通や冷蔵技術が発達し、新鮮な魚介が運び込まれるようになりましたが、一昔前までは、海の魚介は貴重なたんぱく源でした。
そんなことから、北前船によって運ばれてくる身欠き鰊は、棒だらなどと共に大切に食されてきました。そして、松葉というお店が、身欠き鰊の甘辛く煮つけたものを蕎麦にのせたところ、評判を呼ぶことになって現在に至っているとのことです。食材を大切に扱う気持ちから、生まれた料理なのかもしれません。
次に「身欠き」の語源です。諸説あるようですが、信憑性があるのは、「火を通すと身の筋にそって割れやすい(欠けやすい)」または「昔は鰊を干すとき、身の薄い腹の部分を切り落としており、そのさまが、身が欠けたように見えたことから」このような名前になったとする説があります。
干された鰊はかたく棒状になり、身の色は茶色くなっています。独特のにおいがあるので、そのままでは使えません。白水(米のとぎ汁)に数日つけて戻し、その後、番茶でゆでたりして、クセを取り除き、やっと味つけができます。手間暇をかけて美味しく食べるための知恵が詰まっているのです。
ただし、現在では乾燥が30%~50%程度の柔らかい鰊も販売されているので、下処理が手軽にできるものもあります。
最後に、鰊は新鮮であれば、刺身や塩焼きなどにして食すと美味しいそうです。鰯や鯵とは異なる味わいのようで、チャンスがあれば食べてみてください。
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