【百人一首と和菓子】大海
お菓子について
都にいるいとしい人に後ろ髪を引かれながら、大海原に漕ぎ出す歌です。人との別れ、孤独な気持ちを抽象的に表現しました。
豆辞典
11 参議篁(さんぎたかむら)
平安時代の前期(802~852年)を生きた人です。「参議」というのは役職名で、姓は「小野」です。学者であって、漢詩人や歌人でもありました。残念ながら作品はほとんど残っていません。また、異母妹との悲恋や大臣の姫君との結婚などを語った『篁物語』というものがありますが、実話ではなく、後の世の人が作ったお話のようです。
子どものころ、東北地方の役人になった父親に同行したので、幼少期は都から離れ、武芸に興味を持って育ちました。しかし、上京後、気持ちを切り替えて学業に励むと、持ち前の学才を発揮し、どんどん出世しました。自分の思ったままを率直に言動に表わす性格だったようで、時として、世間の考え方と合わないところもあったようです。
さて、歌の方ですが、
大海原のたくさんの島々に向かって舟を漕ぎ出して行ったと、都の恋しい人には伝えてくれ。漁師の舟よ。
というような意味です。遣唐副使に任命されたときのトラブルがきっかけで、篁は1年ほど島根県の隠岐に流されるのですが、これは、そのときの歌です。絶望感と孤独感のある歌だと解釈することが多いようですが、悲しさというより、意気揚々とした雰囲気が読み取れるという人もいます。あなたはどちらに読み取りますか?