【辻調おいしいレシピ・Pick UP! 食材編】第15回 魚を釣る魚
●本日のレシピ
コトリヤード(フランス・ブルターニュ地方の魚料理)
英名で「釣りする魚」(Angler fish)という名を持つ魚がいます。
頭についているアンテナのような誘引突起と呼ばれるものを使い、エサと間違えて寄ってきた生き物をパクッと獲るらしく、自分と同じ大きさの獲物まで一飲みにするそうです。
この名はアンコウ目の呼び名で、チョウチンアンコウなどもこの仲間です。
食用にするアンコウの仲間は、日本では「アンコウ」と「キアンコウ」で、一般的に食用とされるアンコウの多くは「キアンコウ」。
胸ビレが腕のように発達して、まるで歩くように移動します。
まさに歩いて移動して釣りをする魚。
見た目の悪さから、かつては見向きもされなかったこともあるようですが、今では冬の味覚の代表になっています。
海外では糖尿病治療のための「インスリン製剤」の原料として、たくさんの人の命を救ってきた歴史もあるようです。
関西の「フグ」、関東の「アンコウ」と言われ、山口県下関というと「フグ」を思い浮かべますが、実はアンコウの水揚げが日本一です。
水揚げ量は島根県、青森県、茨城県と続き、アメリカ、ヨーロッパ、韓国、中国などからも輸入されています。
その独特の姿に加え、ヌルヌルしてさばきにくいため、茨城県の「吊るし切り」が有名で、青森県風間浦村では、雪上で解体する「雪中切り」が行われています。
産地の努力で素材のイメージが変わった事例は様々見られますが、青森県風間浦村では生きたままの水揚げが可能で、さらに鮮度を保ったまま流通させる技術開発を行うことで、ブランド化に成功しています。
企画部 藤井嘉人