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毎日新聞連載 -美食地質学入門- 第45講「ノリ」

新聞
美食地質学入門

2022.04.06

4月5日(火)の毎日新聞(夕刊)に「美食地質学入門」が掲載されました。

テーマ食材はノリ

▲(左上;干海苔、右上;焼き海苔、右下;生海苔、左下;収穫したそのまま乾燥・焙煎したもの)

〇〇海苔(のり)とよばれる食品は多種多様で、海産・淡水産の藻類やこれらを原料とした食品などがあります。
今回は一般に浅草海苔とも呼ばれ、海で養殖され乾燥・加工して流通する海苔がテーマです。

最初はアサクサノリという品種が利用されていましたが、スサビノリという品種にとって代わられました。
しかしながら、呼び名はそのままアサクサノリを使うことも多いため、誤解されることも多いようです。
今ではアサクサノリという品種は、環境省の絶滅危惧種に指定されるほどの希少種となってしまっています。

さて、今では各地で養殖されている海苔ですが、生活史(ライフサイクル)に不明な点が多かったことから、かつては養殖自体が難しかったそうです。
理由としては、海苔網への種付け方法が確立されていなかったことや、海苔網を海面から出して乾燥させる干出(かんしゅつ)という工程が必要であったことなどです。
干出は太陽の光で他の海藻を枯らすなどの目的で行われますが、そのためには干潮時に海苔網が海面に出る必要があります。
すなわち、干満差が大きい場所(干潟)でなければなりません。
そこで名前が上がるのが干満差が最大6mといわれる有明海です。
有明海は遠浅で養殖網をたくさん張れるというメリットもあります。
ということで、今回は有明海の海苔養殖と地質との関係のお話になります。

海苔の一生が解明されてからは一気に養殖技術が進歩し、干潟のない地域でも養殖が可能になりました。
産地が全国各地へと広がっていき、現在は佐賀県、兵庫県、福岡県、熊本県などとなっています。

ちなみに海苔の収穫量を表す単位は特殊で、面白いことに枚数で表します。
板海苔のサイズは21×19cmと大きさが決まっており、それが何枚出来るかで表しています。
一時は100億枚も生産されていましたが、今は約65億枚位です。(ピンときませんが)
かつては贈答用のイメージがあり、「黒い札束」という呼び名があったくらい価値の高いものでした。
その後、海苔の用途は業務用向けが圧倒的に多くなり、特にコンビニやおにぎり専門店向けが多くを占めています。

さて、本題の巽先生のお話は新聞紙上及び毎日新聞ホームページをご確認ください。

料理担当は、辻調理師専門学校・日本料理の岡本先生。






▲生海苔とジュレ 鯛 帆立 菜の花 花穂紫蘇
岡本;生海苔の風味を活かすために、食材の味付けは極力控えました。昆布だしのジュレ、鯛や帆立の昆布締めなど、昆布のうま味を活かすように工夫いたしました。


▲酒肴


▲海苔の佃煮 烏賊と山葵
岡本;板海苔を炙って香りを引き出して佃煮にした後、食感を加えるために生海苔を仕上げに混ぜ込みました。細切りにした紋甲烏賊の甘みと共に召し上がっていただきます。


▲磯辺あん もち米 蕗 叩きこのこ
岡本;海苔茶漬けをイメージして磯辺あんを考案いたしました。寿司飯にすることでサッパリと仕上げ、コクの部分を叩きこのこで演出しています。


▲海苔巻き 鯖生ずし 薬味 うるい
岡本;寿司などの海苔巻きは定番の料理ですが、酒の肴になるように組み立てを考えました。鯖生ずしのみでは少し主張が強いので、さっぱりとさせる役割で青紫蘇、ガリ、浅葱を芯に巻きました。


▲炙り海苔 カチョカヴァッロと唐墨
岡本;炙りたての海苔と焼きたてのチーズの相性は抜群です。塩味の補いで、唐墨を挟みました。


▲磯風味の湯豆腐 胡麻豆腐 飛龍頭 桜生麩 白葱 柚子
岡本;胡麻豆腐とひろうすを椀種にし、蛤で潮だしを引いて乾燥の海苔を加えて小鍋仕立てにしました。


▲揚げ物 磯辺揚げ 春野菜と共に 葛花 レモン
岡本;油で揚げることで、海苔の香りを引き立てます。生地には海老を叩き、春の香りの空豆、筍を射込み、塩とレモンでサッパリと提供いたします。

合わせるお酒は、五町田酒造株式会社さんの「東一(あづまいち)」です。

▲山田錦純米酒

濾過を少なくした、色のある味のしっかりした山田錦のお酒です。

次回5月のテーマは「サクラエビ」

どうぞお楽しみに。