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毎日新聞連載 -美食地質学入門- 第55講「ブリ」

新聞
美食地質学入門

2023.02.08

2月7日(火)の毎日新聞(夕刊)に「美食地質学入門」が掲載されました。

今回のテーマ食材はブリ

ブリといえばスーパーマーケットなどの定番商品で、「ブリ」、「ハマチ」などの名前で並べられています。
養殖ものが主流で、日本で最初に本格的に養殖されるようになった魚の一つですが、エサによる海洋汚染の問題や抗生物質による奇形魚の発生などが社会問題となるなど、紆余曲折を経て今に至っています。

タイなどとは違い人工的な稚魚の生産量はまだ少なく、今なお稚魚(もじゃこ)を漁獲してそれらを育てる方法が主流で、完全養殖を行っている所はまだ少数です。
また、稚魚の漁獲量は他の魚と同様に減少してきているため、その確保が課題となってきています。

一方の天然のブリは日本近海のみに生息する回遊魚で、気候変動の影響でしょうか、水揚げされる場所が変わってきています。
ここ最近、北海道、千葉県で水揚げ量が増えてきており、特に北海道は水揚げ量日本一となっています。
ただ、時期が9月頃からのシロザケの水揚げと重なっており、たくさん獲れたからと言って単純に喜んでもいられないようです。

このように、北から南まで日本各地で水揚げされますが、特に寒い時期の「寒ブリ」が重用されます。
回遊ルートはいくつかありますが、秋から冬にかけて日本海側を北海道から九州に向けて回遊する群を新潟県・佐渡から富山湾で漁獲されるものがとりわけ高評価となります。
中でも富山県の氷見の寒ブリは超有名で、富山湾のその独特の地形とブリとの関係を紙面で取り上げています。
ただ、さぞかしたくさん水揚げされるのかと思いきや、その数は意外と少なく、それ故さらに貴重な食材として扱われます。


▲「ひみ寒ぶり」写真は富山県氷見市提供

今回料理で使用したものも、『ひみ寒ぶり』。
紙面にあるように、氷見漁協が認定したブランドのブリです。
「ひみ寒ぶり」は1月13日に終了したものの、ギリギリ最終のものが入手できたところで、今回の対談となりました。

さて、対談の様子は新聞紙上及び
毎日新聞ホームページをご確認ください。

料理担当は辻調理師専門学校の日本料理・若林聡子先生です。




▲珍味 わさび漬け・胡麻漬け・南蛮漬け


わさび漬けは、山葵の茎の部分を使い手作りしました。山葵の香りと辛さが鰤との相性はとても良いです。


胡麻漬けは、胡麻をたっぷりふりかけました。鰤のねっとりとした触感をお楽しみください。


南蛮漬けは柚の皮を入れ、さっぱりと仕上げました。


▲造り 平造り/ラディッシュ・防風・金時人参
とても寒い季節の日本の風景を再現しました。寒さの中に温かさがある盛り付けです。氷見の鰤、背の身と腹の身をそれぞれお楽しみください。


▲鰤かま糠焼き/花蓮根・干し柿
かまを丸のままじっくり焼き上げました。糠に漬け込んで風味をつけています。花蓮根と、和風ラムレーズン風に仕上げた干し柿梅酒漬けをつけております。


▲鰤揚げ出し
全ての料理で残った鰤を使って1品仕上げました。
鰤と餅の相性はよく、たっぷりのべっこうあんと、おろし生姜がとても合います。

合わせるお酒は、株式会社桝田酒造店さんの満寿泉。


▲本格辛口「通」



次回3月のテーマは、糸魚川の「酒」

どうぞお楽しみに。