『落語食堂 らくしょく』開店!(36日目)
毎日新聞夕刊(関西版)4/7(火)号に掲載されている『落語食堂 らくしょく』!
今回のお噺は、「あたま山」。
落ちているさくらんぼを拾って食べたら頭から桜の木が生えて・・・
頭の上では桜の木を囲んで、花見やら釣りやらが行われるという
何とも奇想天外なお噺。
お噺の世界観からイメージを膨らませて料理を作ったのは、
日本料理の竹本正勝先生。初登場です!
今回はまず、竹本先生の紹介から。
辻調グループの日本料理専任教員で、今年の1月まで
約2年間ニューヨークの「brushstroke」で働いていました。
「brushstroke」とは、ニューヨークのトップシェフである
デイヴィッド・ブーレイ氏と辻調グループが共同経営する日本料理店で、
常時、辻調の教員が2名働いています。
今やニューヨークでは、"日本風の料理"ではなく、
"本格的な日本料理(会席料理)"を求めて
来店されるお客様が増えています。
ひと昔前では考えられない光景ですね。
ニューヨークに行かれた際はぜひお立ち寄りください。
「brushstroke」
そんな、帰国したばかりの竹本先生に、
どっぷり日本の伝統文化"落語"に浸っていただきました。
竹本先生の料理はこちら。
今回初めて落語をじっくり聴いたという先生に、
「もう少しまともな噺もあるんですけどねぇ(笑)」と吉坊さん。
brushstrokeで親しんだカウンター越しの会話で
取材がスタートしました。
1品目は、「鯵の卯の花和え」
卯の花はおからの別称。
そして、おからは、包丁を使わず切らずに食べられるという意から
関西では、"きらず"とも言われている食材です。
お噺の中で、頭に生えた桜の木を切るや切らぬやの
くだりがあることから、そこに掛けて
"きらず"を用いた料理を提供。
早速、豊富な引き出しから出てきましたね。
吉坊さん「さくらんぼは・・・?」
竹本先生「いろいろ考えたんですけど、時期的に入手が厳しくて。」
と言いながら、出てきたのは「さくらんぼの漬物」。
「明日、根が生えたら困るので種は抜いておきました(笑)」
さすがシャレが利いてますね!
珍しい食べものに一同興味津々。
で、お味は?
「梅干しの浅い感じかな。さっぱりしている。」と吉坊さん。
続いて2品目は、「桜鯛の桜蒸し」
とっても春らしい料理ですね。
鯛の身がふっくらしていておいしそうです。
最後に、「そばのしゃぶしゃぶ(とうじそば風)」
一見、鴨せいろのような感じですが、これまた珍しい。
出汁の中にそばを投げ入れて食べることから
「投汁(とうじ)蕎麦」と言われる信州の郷土料理だそうです。
お噺の最後に、頭にできた池に身を投じるところから、
竹本先生が若かりし頃に先輩教員から教えてもらった
そばを"投じる"料理を思い出したとか。
まさか、こんなところで役に立つとは!
学んだことはすべてかけがえのない財産ですね。
ちなみに、今回のそばは手打ちです。
先月号の若林先生の"蘇"を入れた水ようかんで、
"蘇"を自宅で手作りしてくれた音部先生が今回も大活躍!
そばを打ってくれました。
「そのまま食べても美味しいんちゃう?」
と言いながらそばをすする吉坊さんに
「さすが、そばのすすり方がうまいですね」と竹本先生。
「噺の終わりがシュールなだけにどうすればいいやら・・・」
いろいろ考えすぎたという先生。
「最後は勢いで"わーい"って感じで飛び込んで、ハイ終わり。
あまり深刻ではないんです」と吉坊さん。
ましてや、その後どうなったのか、などと
噺の展開を聞くのは落語ではタブーだそうです。
思わず聞きそうになってしまった。。。アブナイ(汗)
噺家さんはお客様に理屈を考える時間を与えないのも
テクニックだとか。
まんまと乗せられてナンボなんですね。面白いです!
なんて解説を聞きながら、
竹本先生初めての落語食堂・・・無事に終了♪
<おまけ>
この日の吉坊さんは、今の季節にぴったりの新緑の着物と、
ピンクの帯には桜が咲いていました。
今回のレシピはこちら