『落語食堂 らくしょく』開店!(41日目)
毎日新聞夕刊(関西版)10/6(火)号に掲載されている『落語食堂 らくしょく』!
今回のお噺は、「三十石」。
京都から大阪へ帰る三十石船の道中で起こる
様々な出来事が描かれているお噺。
今回も想像力豊かにお噺の世界観を料理で表現したのは
日本料理の竹本正勝先生。
京都は伏見から大阪への出発ということで
伏見の吟醸酒を燗にして。
竹本先生が最も落ち着くというカウンター越しの
割烹スタイルで、今回も取材がスタートしました。
1品目は、「牛蒡のすり流し仕立」
三十石船の道中でくらわんか船に出くわす。
「酒くらわんか~ 飯くらわんか~ ごんぼ汁くらわんか~」
ここでいう "ごんぼ汁" は、けんちん汁なのですが、
竹本先生は "ごぼう" で攻めます。
牛蒡を出汁で炊いてすり流した一品。
中にはうなぎの白焼きが入っており、
竹本先生が目の前で仕上げてくれます。
「粕汁かと思いました(笑)
香りは牛蒡だけど、口当たりが・・・」という吉坊さんに、
「牛蒡感を残すために、ざらざらな食感に仕上げました」と竹本先生。
続いて、「鶉挟み焼き」
松茸で鶉の肉をサンドして焼いているのですが、
この焼き方が面白い。
しっかり挟んで焼き上げるために串を打つのですが、
串を固定するために大根を使うんです。
日本料理のおもしろい技ですね。
では、吉坊さんの実食&レポートを!
「タレがかかっていても松茸の香りがするんですね。」
本当においしそうです。
ここで鶉の捌き方についてプチ情報が・・・
「フランスでは、首を絞めて窒息させて体中に血を巡らせることで、
敢えて野種の臭みを残すんです」と。
「そんな話を聞きながら食べるなんて...」と吉坊さん。
この鶉はそんな捌き方をしていませんのでご安心を。
最後に、「助六寿司」
三十石船のことを描いた「すし食いねえ」の浪曲に合わせて。
いなり寿司と太巻きの黄金コンビですね。
「伏見稲荷とかけたいなり寿司の中には、
食感で麻の実を入れています」と竹本先生。
すると吉坊さん、「おいなりさんって人気なのに
お寿司屋さんでは頼まないですよね。
おいなりさんってどこにあるんでしょう。」
確かに、そうですね!
そして、巻き寿司を食べるとき、
カメラマンの方から「笑顔でこちらを向いて・・・」と
たくさんの指示を受け、大爆笑のお二人。
「この三十石はものすごく長い噺ですが、
面白い噺は長く感じないんですよ。」と吉坊さんが解説する。
一時期、このネタは質屋に入れられていたこともあるという。
「朝靄の風景が一番きれいな情景なんです。
あれだけ口の悪い船頭が乗っている船ときれいな情景との
コントラストがいいんです。」
「この噺は大きな世界を描いているけど、
1シーン1シーン拡大すると、とても細かいところまで
描かれているんです」と。
竹本先生曰く、
「どんなにきれいに見える料理でも、
丁寧な仕事をしていないとすぐにバレますからね。料理も同じです。」
深イイ話です。
この三十石、近々、吉坊さんも披露してくださるとか...?
楽しみですね。
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