「カンブリア宮殿」にて辻調グループが紹介されました。
8月21日、テレビ東京系列で放送の
「カンブリア宮殿」にて、辻調グループが紹介されました。
今年に入ってから、大阪はもちろん、東京、フランス、また各地で
活躍する卒業生についても取材をしていただきました。
司会者である村上龍氏からは
番組の最後に「唯一無比の学校」という言葉で表現いただき、
この機会を通して、我々の教育について、
多くのみなさんに、より深くご理解いただけたのなら何よりの幸いです。
■スタジオ収録を振り返って
◇「考えさせる」という教育
スタジオではVTRをみながら、「卒業時にはどのくらいのレベルになっていて欲しいか」という質問がありました。
我々が目指しているのは、学生が一生、この飲食業界に携わっていって、自分たちの夢を切り拓いていける勉強の仕方を身に着けること、それを教えていくことです。
「学校に入って、料理の数をいくつ作ることができるようになった」では、その学生はそこでおしまいになってしまいます。一つのレシピから、そこに100、200と派生するレシピが出てくる。その一つのレシピから派生していく道筋を理解しなければ、派生していくレシピを作ることはできません。VTRでもご紹介いただいた、学校で行われるシミュレーション実習も、作り方を学んでいるのではなく、作るための微細なことに、先生が教えなくても学生自身が気づくような流れに教えがあります。
やみくもに、何かを教える。あるいは作り方を教えるのではなくて、その教えた中で学生がどのようにそれを受け止めて、そこで自主的に次に進んでいくべき料理の考え方、技術の考え方、技能の仕方を考えさせる。そこではじめて完結します。ただ単に言われたことをやって、それがどういう料理につながっていくかを考えずに、苦労するというのが悪いパターンの組織だと思います。いかに一人一人が労働力ではなくて、考える力となる戦力として、そして調理場で働いていられるか。
そういう人材を我々は育てていきたい。要するに、料理人であろうが、技術者であろうが、企業の一社会人であろうが、何ら変わらない。この仕事は、何のどういった意味を持つのか早いうちから学生たちに分かってもらいたいのです。
◇「辻静雄」について
村上氏が「言語に絶するような本」と評した辻静雄著の「フランス料理研究」ですが、1960年に新聞記者から学校の経営者となってフランス料理を研究しはじめたとき、当時、正統性が何なのかということを検証できませんでした。辻静雄は、研究の結果としてこれを著しました。
父、辻静雄からは、考えて食べるということを徹底して教育されました。それは家庭でも同じでした。美食の世界というのは、どうしても贅沢を売る商売です。美食をたしなむ人にとっては贅沢ですけれども、我々にとっては、教育につながっていかなきゃいけない。料理を理解するというのは、「味覚でわかる」「頭で理解する」「技能で再現できる」この3つがないと絶対料理はできません。普通、料理を教えるというのは、「さぁ、作りましょう」といって、この3つを同時進行で進めていくわけですが、なかなか(実は)それが難しいことなのです。
◇自ら新たな世界を切り拓ける人材づくりに向けて
今回は、卒業生の中から世界のベストレストラン50にも選ばれた「NARISAWA」のオーナーシェフ・成澤由浩シェフや、我々がフィールドワークで訪ねた一日一組限定の福島県いわき市のレストラン「HAGI」の萩春朋シェフをご紹介いただきましたが、現在、我々辻調グループでは、辻調グループのこれからの技術教育を考える「辻調☆技術教育の未来を考えるプロジェクト」を始動させ、全国、世界各地で活躍する卒業生を訪ね、取材・交流するフィールドワークを行っています。
時代が変わっていくとともに、いい意味で優れたスタイルの料理人が生まれてきています。そういう人たちが飛躍できるようなカリキュラムに、今我々はなっているのだろうか?それは、学校の中では絶対にわかりません。ですから、フィールドワークであらゆる今注目されている彼らの学校を出た後の15年、あるいは20年を徹底的に調査するという作業をしています。
大変なことですし、どういう着地点にいけばいいのかは、私も今わかってはいません。しかし、村上氏の言っていた「もっと自立した、できるような人材を辻調では育てていきたいんだ」ということなのです。
どうしたら、自主的に学生が勉強するようになるか。最終的に、就職した時点で、はじめて自分がどういうキャリアで、どういう料理を望みたいか。どういう料理を探し当てて、その道に自分の人生を捧げたいか。この3つを在学中に何とかして与えたいと思っています。
創始者である、辻静雄から教えられたことは、
「料理というのは、とことんまで"芸術"に近い世界でありながらも、"芸術"になってはいけないものである」ということでした。
そして、今。
それだけ高貴な深みを持つ職業に携わっている人たちにすごく敬意を表したい。
そういう人たちを我々は育てるのだという気持ち、これは私だけではなく530人の全職員が同じように持っていると思います。
「料理に究極はない」「本物とは何かを問い続ける」
そして、建学の精神「Docendo Discimus(ドケンド・ディスキムス)」、教えることによって学ぶ。
変らぬものと、変わっていくものを受け入れながら
我々は、教育機関としてこれからも進化していきたいと思います。
最後に、今回、取材をしていただいた番組制作スタッフのみなさま
また取材にご協力いただいたすべての方々に感謝いたします。
ありがとうございました。
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
(TV「カンブリア宮殿」番組公式サイト)