辻静雄ライブラリー7 『料理に「究極」なし』
辻調グループ創設者・辻静雄の著作をシリーズで復刊する辻静雄ライブラリーの最終巻。
著者の没後編まれた遺稿集で、熊倉功夫氏、故・梅棹忠夫氏との対談による、食卓の東西比較文明論を含む。美味なるものを追求する作り手として、研究者として、また教育者として、著者が常に心に留めていたのが、「料理に究極なし」という言葉だった。
本書には、食べ手も安易な究極を求めず、食卓がもたらす喜びを味わってほしいという強い想いが綴られている。最終章では、改めてヨーロッパの料理と食卓の変遷をたどった後、未来の食に目を転じ、これから何を、どう食べていくのかとの問いを投げかける。辻静雄が私たちに残した最後のメッセージといえるだろう。
<解説・石毛直道 氏>