フランス料理の学び方
『フランス料理を築いた人びと』に続き、中公文庫の辻静雄の本の2冊目として、『フランス料理の学び方』が発刊されました。
1972年に三洋出版貿易から刊行された『フランス料理の学び方』は、日本人としてフランス料理を理解するための視点を示して見せ、その言葉に触発されてフランスでの料理修業に旅だった料理人も少なくないと言われる幻の名著です。その第1部「フランス料理の学び方」を中心に、第2部対談集のうち天皇の料理番として名高い秋山徳蔵との対談を巻末に収録したのが本書です。
辻調理師学校における講義禄が元になったこの本では、「歴史的な視野に立ってフランス料理の流れを見ていく」ことの重要性が語られています。それは、辻静雄自身がフランス料理研究という未知の分野に踏み出した時に用いた手法を、技術者としてフランス料理を学ぶ人たちのために説き明かしたものでした。
創立50周年を迎える辻調グループ校の創立者辻静雄が、理想の技術教育のあり方を自らに問い続ける中でつかみとった一つの答えを、その教壇での姿を彷彿とさせる語り口とともに今に伝える一冊と言えるでしょう。