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辻調理師専門学校 東京

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課外授業 ~学校給食の試食と大量調理施設の見学~

製菓応用技術マネジメント学科
製菓衛生師本科
調理師本科
調理応用技術マネジメント学科

2025.03.21

こんにちは。
桜の開花まであと少し。菜の花や鳥のさえずりが春を告げていますね。
学校の帰り道、道端に巨大なツチガエルが置物のようにたたずんでいて、びっくりしました!
冬眠から目覚めたようです。
辻調理師専門学校 東京では、3月3日に2年制のクラスは
終業式を、1年制のクラスは卒業式を終えて、学生たちは春休みに入りました。

突然ですが皆さんは、学校給食、好きですか?
学生たちに給食の話を聞くと、みんな食べることや作ることが大好きなので、
おいしかった献立や苦手だったメニュー、給食にまつわるエピソードなど
ワイワイしながら盛り上がり話が尽きませんでした。
そこで、教室を飛び出して現場を見に行きたいと思い立ち、学生と教職員の希望者を募って
学校給食の試食と給食を作る大量調理施設の見学に行ってきました。

今回訪問するのは、東京都国立市にある食育推進・給食ステーションです。
ここは、国立市の小学校8校と中学校3校に1日約5000食を提供する大量調理施設です。



この日は3月14日なので、ちょうどホワイトデーのイベント給食の日でした。
献立は、チョコチップパン、アルファベットマカロニスープ、鮭フライノンエッグタルタルソース、
チーズポテト、苺とみかんの2色ゼリー、低温殺菌牛乳です。
どんな味がするのか、ワクワクします。

朝8:45にJR南武線 谷保駅改札に集合して出発です。
うららかな春の気候、ハイキングに最適なお天気でした。
学生と教員が入り交じり、列になってワイワイ語り合いながら25分ほど歩きました。
小学校の遠足の様なひと時でした。

国立市は、辻調東京がある小金井市から8キロ西にある、
人口約7万6千人の東京都で2番目に小さい市(離島を除く)です。
マンションや住宅地、工場などが広がる中で、田畑や里山が大切に残されている場所があり、
都市と農村の調和を目指した都市農業を次世代に残す取り組みをしています。
今回は食と農の環境の現状も学生に見て感じて欲しいと思い、歩いて現地まで行くことにしました。

食育推進・給食ステーションに到着し、建物に入ると、おいしそうなにおいがしてきました。
着席して、国立市の食育推進・給食ステーションの管理栄養士さんと、
調理責任者の先生方から給食についてお話を伺いました。


早速、見学通路に移動して、大量調理の様子を見学します。


実習室で作る時と異なり、鍋や器具の大きさ、そして5000食の量に圧倒でした。
参加者一同、食い入るように厨房を見ていました。そして、質問が飛び交います。

「回転窯1台で何人分調理できるのですか?」
「あの回転窯でスープを作っています。
 小学校3500食分で回転窯3台、中学校1500食分で回転窯2台使用しています。」

「エプロンの色が異なるのはなぜですか?」
「エプロンの色で、作業区分が分かるようにしています。
 青いエプロンの人は、加熱前の食材を取り扱っている人です。
 ちょうど生の魚をフライヤーに入れているところです。
 白いエプロンの人は、出来上がった食材を取り扱っている人です。
 チーズポテトを食缶に入れています。」

大量料理で使用する回転窯やお玉、スパテラが展示されているコーナーがあり、
作業の体験をさせてもらいました。
調理責任者の方から、回転窯でかき混ぜるコツを教えてもらい、順番に体験しました。

「道具も重いし力仕事だね。」「片手では、操作できないよ。」

いよいよ、待ちに待った給食の時間です。
「皆さん手を洗って、給食の配膳をお願いします。」
さっそく、給食当番役の学生たちが料理を配膳していきます。


おいしそうな匂いが部屋にあふれてきました。
「いただきます!」の号令で、試食スタート。


「中学校の給食、ボリュームあるね。」
「薄味で、素材の味が感じられるね。」
「瓶の牛乳おいしいね。」
「チョコチップパンのチョコたっぷりだね。」
「2色ゼリー、イチゴとオレンジのゼリーを一緒に食べると、パイナップルの味になるなんて面白い。」
などなど、教員も学生も小中学生に戻った楽しいひと時でした。
「給食おいしかった人」の声に全員の手が上がりました。

質疑応答の時間は、学生も教員からも色々な質問が出ました。
アレルギー対応について、異物混入対策について、どんなメニューが人気で、どんなメニューで残食が多いか。
残食は、どうなるのか。
特に、フードロスにつながる残食は、どのようにしたらなくせるのかなどの質問が上がりました。
私たちの質問に、給食ステーションの方が現場のリアルな話を交えて丁寧に回答して下さいました。
献立を作る栄養士と調理する調理師の立場の違いで、
給食を通し子供たちに伝えたい想いや、調理時の作業性など課題があることを知り、
お互いの視点で話し合い、コミュニケーションを密にとることで、
課題を解決している様子を目の当たりにして、多くの気づきを得たようでした。

参加者からは、
◆大量調理を担う給食センターで行われているシステムや工夫などがたくさんわかり、とても学び深い機会でした。
 栄養士さんと調理員さんとの信頼関係や、子どもたちに向けた食育のメッセージも強く感じられ、とても楽しく嬉しかったです。
◆自分が育った地域以外の給食を食べる機会がなかなかないので嬉しかったです。
 この量の大量調理も初めてみたので楽しい機会でした。
◆給食センターのお仕事について良く理解できた。
◆現場の話が直接聞けたこと。施設見学も調理員の実際の動きも合わせて見学できたことは意味があると思う。
 新施設により、より衛生管理も向上されており、フロアの色分け、着衣による区分けはとても分かりやすいと思った。
 試食の給食も久保栄養士はうす味を気にされていたが、全く問題なく食べられた。とても美味しかった。(量は少し多かった。)
◆献立を作るのに、現場の経験が大切だと痛感しました。
◆虫の異物混入を防ぐため、給食に使う野菜を9回12回と洗うこともあることを知り驚いた。
◆学校給食ならではの制約など、大量調理の苦労がよく分かりました。
◆希望者だけでなく、学生全員に参加して欲しい有意義な見学会だった。
◆栄養士と調理員がとてもいい関係である印象を受けた。
 給食で使用されている食材、調味料、牛乳までこだわっていて、
 少ない給食費の中でも工夫すればいいものを食することができ、
 安心安全が徹底されていたのは素晴らしいと思った。
◆サラダなどの野菜の残食率が高いようだが、教員も積極的な指導は難しい点もあり、
 家庭での食育のため、保護者への栄養指導も必要ではないかと感じた。

などの意見がありました。

学校で学んだ知識が実際の食の現場でどのようにつながるかを、
学校給食の現場を通して知ることができました。
そして、学生たちが自身の生き方や働き方を考え、将来のなりたい自分を考える際に糧となることと思います。
また、私たち教員も学生と共に学び、より良い授業のヒントを得ることができました。

学生と教員が共に肩を並べて学ぶ授業、とても充実した学習の場となりました。
皆さんも一緒に学びませんか。

~プロフィール~
辻調理師専門学校 東京
専門講義科目グループ
井原啓子

管理栄養士、中学・高等学校教諭免許(家庭)取得
専門は、品質管理、食品科学、家庭科
調理師学校、製菓学校、「エコール 辻 東京」を経て、「辻調理師専門学校 東京」勤務。
趣味:水泳(ほぼ毎日、泳いでいます)。食べることや作ること、食材巡りも大好きです。
大学で野生キノコの研究をしたことがきっかけで、キノコが大好きになりました。
近年は、キクラゲの栽培にもはまっています。