【ビバ!!ベバレッジ】九州 福岡の梅物語 全2回-その1
今回から、梅ジュース作りの顛末記を2回に分けてお話します。
梅はバラ科サクラ属の落葉高木で、古来より日本では花が咲くと春の訪れを感じ、実が成るとそれらを食用や薬として利用し、人々の暮らしに様々な影響をあたえてきました。
ところで、一般的に梅といえば紀州(和歌山県)を思い出すのではないでしょうか。
事実、和歌山県が昨年の国内生産量約12万4000tの64%ほどを生産しました。
次に群馬県で全体の5%程度、そして福井県、神奈川県、奈良県が2%程度ずつと続き、後は生産量こそ少ないものの、北海道から沖縄までほぼ全国で作られています。(平成25年農林水産省果樹作況調査より抜粋)
いかに和歌山県がダントツか、まさしく梅王国という感じです。
さて、「梅の木」は日本原産であるという説と中国からの移植だとする説の二つに分かれているようです。
我が国では平安時代すでに梅干しが利用されていたと言われていますが、寒さにも強いことや多くの文献から推察するに中国原産地説が有力のようです。
いずれにしても「梅」を利用した食品は梅干し、梅酒、梅肉エキス、梅ジャム、梅酢など数多くありますが、今回の梅ジュース(シロップとも呼ばれている)は、青梅と砂糖だけで作るいたってシンプルなものです。
今回のレポートが梅ジュース作りの『顛末記』だというのであれば、それこそ梅の実を育てて収穫し、ジュースを作るまでの一連をレポートしなくてはいけないところですが、収穫までの過程については福岡在住の義母、義妹に協力してもらいました。
今回レポートする梅の木は、福岡県の南東部(大分県との県境近く)にあります。
そこから車で1時間半ほど行けば、有名な別府や湯布院です。
私は何回かそこにある「別府・鉄輪のむし湯」に行きました。
石菖(せきしょう)と呼ばれる植物の葉を干し、床一面に敷き詰めた蒸し風呂(サウナ)です。
4~5分も経てば全身から汗が噴き出るというか、滲み出てきます。
「むし湯」に入り、その後、手作りの梅ジュースを飲んだら旨いだろうな・・・と考え、今回のレポートを書くことにしました。
そして、「梅の木の写真と、できた実をお願い!」と頼み込んだのです。
■別府・鉄輪のむし湯
鎌倉時代の建治2年(1276)に一遍上人(いっぺんしょうにん)によって創設されたといわれています。
ここのむし湯は独特の形式をとっており、1メートル四方の木戸を開けて中に入ると約8畳ほどの石室があり、 温泉で熱せられた床の上には石菖(せきしょう)という清流沿いにしか群生しない薬草が敷きつめられていて、 その上に人が横たわります。(別府市ホームページ温泉観光情報より抜粋)
(左)別府 鉄輪温泉「むし湯」
(右)石菖
さて、始まりは梅の木を観察するところからです。
ご承知のように梅の花は2月ごろから咲き始めます。
梅農家はこの花の出来不出来、そして受粉時の天候などをとても気にされます。
一般的に梅は受粉しにくいものだそうです。
■4月5日
花はもう散りましたがすでに小さな実が出来き始めています。
梅はまだ静かに眠っているようです。
■4月25日
20日間ほどで葉が茂ってきました。
育ち方が早いのに驚きます。
昨年は近年になく豊作だったようですが、今年は花落ちが多かったので、収穫量は少ない予想だとか。
■5月7日
ほんの1ヶ月ほどで葉がいっぱい茂ってきました。
実もできています。
■5月11日
梅の実もこんなに大きくなりました。
■5月27日
風で枝が折れたり擦れあったりする影響で、梅の実に傷が付くと、そこから透明な蜜のようなエキスが出てきます。
■6月7日
いよいよ収穫です。
観察を始めて2ヶ月余り。一粒ずつ手で摘みます。
高いところは竿を使って枝をおろしたり、高枝ハサミで切ったりして収穫しました。
(左)収穫風景
(右)収穫後の梅の実
収穫後、すぐに宅配便で送ってもらいました。
いよいよ、6月8日は梅ジュース作りに励みます。
つづく。