【半歩プロの西洋料理】私の朝・・・ 「やっぱり、じゃこやな」
春の訪れと共に我が家の朝の食卓を飾る食材がある。「じゃこ(雑魚)」である。 勿論、ちりめん山椒やちりめんじゃこ(上乾)のように一年間を通していつでも食べられるものではなく、いわゆる「釜揚げ」と呼ばれる乾燥する前の塩ゆでしただけのいわしの稚魚で、冷凍せずに流通しているものである。通年手に入る冷凍品でなく、春先の一時だけ出回る一度も冷凍していないしらすを熱々の白いご飯の上にたっぷりと載せ、すだちやしょうゆをほんの少したらして食べるのが、朝のちょっとした贅沢であったりする。
白いご飯にたっぷりのしらすは春先の朝ごはんの定番
一年を通して朝ご飯の供にはちりめん山椒とちりめんじゃこは我が家の食卓に欠かせないのであるが、この時期には「釜揚げしらす」が3日にあげず加わることになる。また、知人が自作の「いかなごのくぎ煮」を持って来る。桜えびの釜揚げが出てまわり始める。と、似たような食べ物ばかりが食卓を埋め尽くすことになる。
ご飯のおともの鉄板コンビ、テーブル上に無いと必ず冷蔵庫を引っかきまわす・・・
以前「朝ごはん総選挙」というTV番組で、朝の食卓を彩る「ご飯のおとも」という分野で1位が納豆で2位が海苔、以下鮭のほぐし身、辛子明太子と続いていた。我が家の食卓には週に1回上がる程度の納豆や海苔、1~2ヶ月に1度お目にかかる辛子明太子はともかく、一度買って食べたきり二度と食卓にのぼったこともない鮭のほぐし身が3位とはいただけない。ちりめん山椒がようやく9位にランクインしていただけで、ちりめんじゃこは姿も見せなかった。「やっぱりじゃこやろ」というのが、私の意見である。
ちりめんじゃこやちりめん山椒と違い、くぎ煮の強い甘味はいまひとつ好きになれず、頂き物のくぎ煮は大抵「おすそ分けの更におすそ分け」として旅立ってゆくことが多く、近頃「大阪産(おおさかもん)」として泉州の漁港で直販されているいかなごにも手を出すことは無かったのだが、昨年薄い衣をつけて揚げてみたところ非常に好評で、フランスはローヌ河岸の夏の風物詩でもあるビールやワインとともに楽しんだフリチュール(小魚のフライ)を思い出させてくれた。
くぎ煮が煮崩れないようにするにはたっぷりの砂糖がポイントなのだが・・・
今年はちょっと趣向を変えて、オイルサーディンの要領でオリーブ油で火を通した私流のご飯のおともにしてみようと思い、チャレンジすることにした。オリーブ油はしょうゆとも相性がいいので、熱々の白いご飯にのせてしょうゆをかけたり、生卵を落としたりしてみれば、ご飯の進むことは間違いないだろう。そしてパンにも間違いなく合うだろうから・・・ワインがすすむこと間違いなしである。
山盛りの小魚のフライと冷えた白ワインは、リヨン近郊では初夏の風物詩のひとつ
さあ、大阪産(おおさかもん)のいかなごの到着である。
宝石のような泉州のいかなごたち
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