【半歩プロの西洋料理】クレソンの生産地を訪ねて
クレソンCressonは、ヨーロッパ原産のアブラナ科の多年生植物です。食欲をそそるほどよい辛味があり、自分が専門としているフランス料理でも、肉料理の付け合わせなどでよく使われます。
近年は国内での生産も盛んで、農林水産省のHPによると、国内のクレソン生産量1位は山梨県で、その生産量は群を抜いているそうです。そんな山梨県に、さらにクレソン出荷量日本一の村があるということで訪ねに行きました。
クレソンの産地 道志村
訪れたのは、山梨県の南東にある道志村。この村だけで日本のクレソン生産量の約1/3を占めるといいますから、今回の取材にはうってつけです!
道志村では昭和50年代中頃から、富士山のきれいな湧き水を利用した水田転作作物としてクレソン栽培が始まりました。「道志村クレソン栽培組合」があり、栽培が盛んに行われています。
そのうちの一軒にお邪魔し、水耕栽培している畑を見せていただくと一面にクレソンが育っていました。
水耕栽培の様子
元気に育っています
豊富な湧き水と夏でも涼しい気候が、暑さに弱いクレソンの栽培に適しているようです。
野生のクレソンの旬は3月から5月くらいですが、一年中出荷できるように、寒さが厳しい冬場は道志村よりも暖かくて栽培に適している静岡県の畑を使うなどして出荷量の確保をしているそうです。
白い花も咲いていました
山と川に囲まれキャンプや渓流釣りも人気の道志村には「道の駅 どうし」があります。
最近は観光や、レジャースポットとしても注目されている「道の駅」ですが、この道志村にある道の駅ではクレソンを特産品として売り出しています。
特産品直売所ではクレソンを使ったパスタやうどん、蕎麦などの麺類のほかに、クレソンを練りこんだ煎餅、アイスクリーム、飴などが並んでいました。
クレソンを使ったパスタとうどん
店内を少し歩いているとクレソン売り場を発見!しかし目当てのクレソンは売り切れの様子。
残念ですが気を取り直し、下調べで気になっていた道の駅の中にあるレストランで腹ごしらえ。
メニューはクレソンつけ麺や、クレソンサラダ、クレソンケーキ、クレソンジュースなど、
この場所ならではのクレソンを使ったメニューが、たくさん並んでいます。
クレソンつけ麺と、クレソン入りのケーキを注文してみました。
クレソンが練りこまれた、ほんのり緑色のつけ麺
クレソンケーキ
緑色のうどん麺には、クレソンをパウダー状に加工したものを混ぜているようで、のど越しが良く、風味があります。ケーキの方は、生地にクレソンが入っていて、意外なようですがしっとり美味しい!
どのクレソン入り製品も、ただ物珍しいというだけでなく、しっかり味の事を考えて作られているようです。
一息ついてクレソン売り場をもう一度見に行くと、タイミング良く新しいクレソンが補充されるところでした。売り場に置かれると、5束6束まとめて買う人がたくさんいました。
この売場で1日に30kgほど売れるというので驚きです。
肉料理の付け合せやサラダとして食べるだけでなく、地元ではバターでソテーして食べたり、さっと湯がいて胡麻和えにしたり、ほうれん草と同じようにお浸しにすることが多いそうです。
その他漬物にしたり、鍋の具材としても利用されていると聞きました。
地元での消費や飲食店への出荷だけでなく最近ではデパートやスーパーなどの一般店からも
注文が増えているそうなので、お店でもっと目にする機会が増えるといいなと思います。
普段、西洋料理で何気なく使っている食材も1つを取りあげて調べたり生産地を見に行くと
新しい発見があったり食材に対しての愛着が沸きますね。
参考サイト:独立行政法人HP 農業環境技術研究所 外来植物図鑑(オランダガラシ)
http://www.niaes.affrc.go.jp/project/plant_alien/book/index_n/nasturtium.html
農林水産省HP(クレソンの国内生産量に関する質問への回答) http://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1211/01.html
道の駅 どうし HP
http://www.michieki-r413.com/
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