【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】 伝統野菜で日本料理
<【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】ってどんなコラム?>
●海老芋まんじゅう●
「伝統野菜」
私はスーパーやデパ地下などの食料品売り場をぶらぶらするのが好きで、ちょくちょく行くのですが、そこで目にする野菜を見ていると、季節とは関係なく色々なものが並んでいます。
楽しめる反面、本来の旬ではない時期に出回っているのを見ると、日本料理を教えている者として複雑な心境になります。さて、そんな野菜の中で、今回は伝統野菜について少しお話ししましょう。
天王寺蕪・毛馬胡瓜・鳥飼茄子などなど......。これらは「なにわの伝統野菜」といわれるものの一部です。(「なにわの伝統野菜」の基準は下記参照)伝統野菜は大阪に限ったことではなく、各地域に存在します。よく知られているところでは、「京野菜」や「加賀野菜」などがあります。
伝統野菜の中には、一度衰退してしまい、しばらく生産されていなかったものもありますが、近年これらを復活させる動きがあります。市場に出回るようにし、食育や地産地消に一役買っています。
なにわの伝統野菜の中で、私が一番馴染み深いのは、「大阪しろな」という野菜です。茎の部分が白く、葉の部分が薄い緑色をしています。「大阪しろな」が正式な名前なのでしょうが、私は普段から「なっぱ」と呼んで親しんできました。
この「なっぱ」は、クセがなくあっさりした味なので、揚げさん(薄揚げや厚揚げ)と一緒に煮てよく食べましたし、今でも食べています。作り方もいたって簡単で、適当な大きさに切ったなっぱと揚げさんを、少し炒めてしんなりさせ、後はだし汁と砂糖、薄口醤油で味を調えるだけででき上がりです。
ほかには、「なにわの伝統野菜」には含まれていませんが「葉ごぼう」も好きな大阪の野菜です。大阪の八尾というところが有名な産地で、春先に出回り、ほんのり苦味がある美味しい野菜です。大阪の人たちの間では、親しみをこめて「若ごんぼ」と呼ぶこともあります。
昔から受け継がれる野菜を調理したり、食べたりしていると、季節を強く感じます。ハウス栽培がされていないものが多く、露地ものがほとんどで、旬にならないと出回りません。旬を楽しめる伝統野菜には、これからも、季節の香りを届けてほしいものです。
今回、成田先生が調理してくれる野菜は「海老芋」です。この野菜は「なにわ伝統野菜」に認定されていませんが、大阪の富田林に板持という地区があり、ここで古くから栽培され「板持海老芋」として、料亭や割烹などで使用されています。
*大阪府が伝統野菜として定める基準
(大阪府のHP
http://www.pref.osaka.lg.jp/nosei/naniwanonousanbutu/dentou.html より)
<「なにわの伝統野菜」の基準>
(1)概ね100年前から大阪府内で栽培されてきた野菜
(2)苗、種子等の来歴が明らかで、大阪独自の品目、品種であり、栽培に供する苗、種子等の確保が可能な野菜
(3)府内で生産されている野菜
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