【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】鯖そぼろちらし寿司
<【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】ってどんなコラム?>
はじめまして、辻調理師専門学校の西垣です。
学校では日ごろ学生たちにプロの日本料理を教えていますが、ふと自分の料理のベースはなんだろうと振り返ってみると、幼い頃のお祭りやちょっとした遠出など、特別な日に食べた家庭の料理が、今も色あせずに記憶に残っている――そう気づくことがあります。
「温故知新」という言葉があります。
先人ばかりが優れていたとはいいませんが、僕にとっての楽しい記憶から、家庭で簡単に作れるお料理をご紹介しましょう。
●鯖そぼろちらし寿司●
6月は水無月といいます。
蛍が飛び交う季節。梅干しを漬ける風景。おいしいみょうがご飯と、枇杷の実をほおばる楽しみ。
日本の水無月を感じる風景は、たくさんあります。
僕は京都府の丹後半島で育ちました。日本海側の、今でも古い町並みが残る場所です。
幼い頃、祖母はよく親戚を集めては、料理を振舞ってくれました。
決まってお祭りや節句、誕生日といった節目で、今でいうホームパーティーみたいなものですね。
特別な日だけに食べられるハレの日のごちそうに、いつもワクワクしていました。
薪でご飯やもち米を炊いたり、蒸したり、お風呂の水を沸かしたり。
パチパチとはぜる焚き火に、ぷつぷつとご飯が炊き上がる音。煙の香りと湯気の立ち込めた台所。
今では見ることの出来ない空間がそこにはありました。
僕たちがテレビに夢中になっている隣には、土間に立ち、料理を準備する祖母の姿。
祖母が炊き立てのご飯に寿司酢をかけます。
酢に多めの砂糖と少しの塩をどんぶりで合わせ、ご飯に一気にさっと振りかける。いとも簡単に、しゃもじでご飯を混ぜていく。職人でもないのに、手際よく、年季が入ったとはこのようなことだ。我流も長年繰り返すと、プロの技に勝るとも劣らない。その姿に安心感がある。
祖母の姿を思い出すと、今ではそのように感じます。
寿司飯は、アツアツの炊き立てのご飯に酢をまんべんなく混ぜ合わせることで、お米の中まで酢の味が染みわたるのです。
祖母は経験でそれを知っていたのでしょうね。
実は学校の授業の中で、学生たちに、祖母のちらし寿司を教えていたことがあります。
もちろん具材はプロ向けの豪華なものに変えましたが、ベースは祖母の味でした。
今でも人を家に招くときには、この祖母のちらし寿司を思い出して作ることがあります。
食べなれた味は、僕にとってはとても優しい味で、いつ食べてもホッとします。
今回は西尾先生にお願いして、僕の祖母のちらし寿司を再現してもらいました。
特別な材料は何一ついりません。鯖そぼろが甘めの味で、食べやすいです。ぜひ作ってみてください。
担当者情報
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料理で笑顔の花を咲かせたい 西垣富雄
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