毎日新聞連載 -美食地質学入門- 第37講「ビワマス」
8月3日(火)の毎日新聞(夕刊)に「美食地質学入門」が掲載されました。
テーマ食材は「ビワマス」。
すっかり人気食材になったサケ・マスですが、意外に呼び名で混乱している方も多いと思います。
日本でサケというと「シロザケ」を指し、日本各地の河川で生まれ海に下ってまた生まれた川に戻って産卵します。(母川回帰)
日本で漁獲対象になるサケ・マス類はこの「シロザケ」が圧倒的に多く、アキアジなどと呼ばれ四季を感じさせてくれる食材の一つです。
一方、マスというと「サクラマス」を指すことが多く、富山県の「ますのすし」で有名です。
ただ、最近では「ニジマス」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
ややこしいのは、マスという名がついているのですが、「サクラマス」も川で生まれ海に下ってまた生まれた川に戻り産卵します。
ということで、マスという名がついているから海に下らないという訳ではなく、サケ・マスの仲間についてはそれぞれの種によって生態が違うと理解していただいた方が良いと思います。
ちなみに、この「サクラマス」が陸封(湖などに閉じ込められること)されたのが「ヤマメ」で、今回の「ビワマス」と近縁になります。
また、「サツキマス」の陸封型が「アマゴ」で、これも「ビワマス」の近縁で「サクラマス」の仲間です。
対談の中で詳しく説明されているように、琵琶湖が出来た経緯の中で閉じ込められたビワマスは、琵琶湖で成長し、流れ込んでいる川を遡って産卵を行います。
すなわち海とは無縁で、琵琶湖と流れ込んでいる川で一生を過ごすのが「ビワマス」です。
近年、サケ・マスの仲間は世界各地で養殖が盛んになり、おなじみの「アトランティックサーモン(大西洋サケ)」や「銀ザケ」をはじめ多くのサケ・マス類がその対象になっています。
中でも「ニジマス」などは産卵による身質の劣化を防ぎ、より大きく育てるため産卵しないメス(3倍体)を作り出し養殖されています。
今回の「ビワマス」も養殖が行われており、同様に3倍体のメスを育て、「びわサーモン」の名で出荷しています。
さて、本題は、巽先生のお話は新聞紙上及び毎日新聞ホームページをご確認ください。
今回の料理担当は湯川先生です。
▲ビワマス マリネ
湯川;マリネは西洋料理ですが、和風のアレンジで青紫蘇をふんだんに使用してマリネにしました。 ほのかな香りに卸し酢をのせ酸味を加えてながらお召し上がりください。
▲ビワマス利休焼き
湯川;胡麻の風味をきかせた利休焼きですが、チャンチャン焼きをイメージしチーズとらっきょをのせて焼き上げました。
▲ビワマス甘酢あんかけ
湯川;揚げたての夏野菜とビワマスを唐揚げにし、トマトウォーターを加えた甘酢あんをかけました。
▲ビワマス棒寿司
湯川;ビワマスのうま味に更に昆布でうま味を付け足し、すし飯は少し控えめでおぼろなどをアクセントとしました。
合わせるお酒は、竹内酒造株式会社の「唯々 純米吟醸」(ただただ)
▲玉栄と山田錦のDNAを受け継いだ滋賀県産吟吹雪を使用し、ほんのり爽やかな香りと落ち着いた旨みが特徴で、口当たりは柔らかくただただ何杯でも飲めてしまう逸品
次回9月のテーマは香川県の「うどん」。
どうぞお楽しみに。