毎日新聞連載 -美食地質学入門- 第52講「ブロッコリー」
11月1日(火)の毎日新聞(夕刊)に「美食地質学入門」が掲載されました。
テーマ食材は「ブロッコリー」。
白菜やキャベツ、カブにブロッコリーなどなど、アブラナ属の野菜たちは、元をたどれば「ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)」と「ヤセイカンラン(Brassica oleracea)」という、たった2種類の野草から生まれたそうです。
あまりに多種多様なために、逆に原産地がわからなかったようで、ようやく判明したのは最近のことなのだそうです。
「ヤセイカンラン」の原産地は地中海東部。
また、「ブラッシカ・ラパ」の原産地はアフガニスタンとパキスタンの国境に近い山地。
「ブラッシカ・ラパ」についてはこの学名以外に名前すら付けられていませんが、これからはカブ、ハクサイ、コマツナなどがうまれました。
「ヤセイカンラン」からは、今回のテーマであるブロッコリーをはじめケール、キャベツ、カリフラワーなどがうまれています。
さてブロッコリーですが、食用にするのは主に花のつぼみが集まった花蕾(からい)と呼ばれる部分と茎です。
このように花やつぼみ、それらのついた花茎を食用にする野菜たちを花菜類と呼ぶことがあります。
他にはカリフラワー、菜の花(ナバナ、花菜など花芽を食べるアブラナ属の野菜の総称)、ミョウガ、フキノトウ、食用菊などがあります。
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写真のように大きなつぼみの塊が一般的ですが、この塊を収穫した後に出てくる脇芽も食用にできます。
中国野菜・カイランと掛け合わせたスティックセニョールなど、脇芽のような形で出荷され茎ブロッコリーと呼ばれる品種もあります。
今回使用するのは、紙面にあるように鳥取県のJA鳥取西部のブロッコリーで、地理的表示保護制度(GI)に登録された「大山ブロッコリー」です。
さて本題は新聞紙上及び毎日新聞ホームページをご確認ください。
料理担当は、フランス料理・長谷川薫先生です。
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▲ブロッコリーのスパイス蒸し煮
ブロッコリーとじゃがいもを野菜の水分だけで蒸し煮にして、様々なスパイスをきかせています。
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▲ブロッコリーの冷製ポタージュ、甘えび・サーモンマリネと共に
ブロッコリーのポタージュ、甘えびと自家製サーモンマリネと香味野菜のタルタル、ヨーグルトのソースと共に召し上がっていただきます。
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▲鶏胸肉のコンフィ、ブロッコリーをソース仕立てで
鶏胸肉はコンフィの状態でしっとり火通ししています。
ブロッコリーを付け合わせ兼ソースとして召し上がっていただけるよう、鶏肝、心臓のコンフィと香草を効かせた仕上げにしています。
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▲ブロッコリーのソテー
ブロッコリーをかつおの酒盗風味のバターでソテーします。
あさり、ドライトマトのうま味も一緒にブロッコリーに吸い込ませました。
合わせるお酒は、大谷酒造株式会社さんの鷹勇。
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▲「原酒 純米吟醸 強力」(無濾過 生)
鳥取県産米の強力(ごうりき)の名前の如く、力強い旨味の幅のあるお酒です。
次回12月のテーマは、「米」。
どうぞお楽しみに。