『落語食堂 らくしょく』開店!(34日目)
毎日新聞夕刊(関西版)2/3(火)号に掲載されている『落語食堂 らくしょく』!
今回のお噺は、「井戸の茶碗」。
紙くず屋が、普段は扱わない仏像を売り、
その仏像から大金が出てきたことから騒動が始まる。
誰も大金を受け取ろうとせず、困った紙くず屋は大金を渡す代わりに
古くて汚い茶碗を受け取るが、この茶碗がかの有名な井戸の茶碗で・・・
と、高価なものが次々出てくるのに悪者がいない、楽しいお噺。
全く料理が登場しない今回のお噺。
お噺のキーワードから連想して料理を作ったのは、日本料理の木村栄至先生。
木村先生が「おでん」を披露したその心は・・・?
「お噺の仏像にちなんで、色んなものを"鋳込ん"でます。」
それでは、様々なサプライズが隠されている「おでん」を
吉坊さんと一緒に楽しみましょう。
その前に、茶碗について少し。
この「井戸の茶碗」は、朝鮮半島 井戸地方の茶碗ということ、
井戸のように深い形状をしていることから名づけられ、
本来は庶民が使う器だったそう。
しかし、お噺にも出てくるように
日本では大変高価な名器なのです。
「今回は敢えて本来の使い方をさせてもらいました。
見る人が見ると、井戸の茶碗に料理を入れるなんて・・・と
叱責されそうですが(笑)」と木村先生。
さて、今回はおでんの具の一部を紹介。
1品目は、大根に鴨そぼろ味噌をかけたもの。
「やわらかいっ!」
吉坊さんのお顔がすべてを物語っていますね。
1品食べたところで、木村先生の回では恒例となっているお猪口選び。
今回は、井戸の茶碗と同年代の国内外のものから。
錫に入った熱燗で乾杯!
2品目は、"白菜巻き"にポン酢をかけて。
なんと!中には湯葉で包んだ白子が"鋳込まれ"ていました。
吉坊さん 「なぜ白菜で包んだのですか」
木村先生 「箸ですっと割れないように。割れたら中身がバレてしまうから」
まるで宝探しですね(笑)
次は何が・・・?
3品目は、"ごぼう天" "蛸" "コロ"。
「ん?これは??」
どうやら、ただのごぼう天ではないようです。
「ごぼうをくり抜いて、中に穴子を入れています。」
なるほど、焼き穴子が"鋳込まれ"ていました。
では、せっかくなので木村先生の手作りごぼう天をプレイバック。
>>>穴子を押し込んだごぼうを
___
>>>すり身で包みます。
___
>>>揚げます。
___
>>>おいしそうですね!
___
4品目は、"きんちゃく"。
もう流れが読めた吉坊さんは、おそるおそる中身をチェック。
木村先生 「苦手なものはありますか。」
吉坊さん 「え?このタイミングで聞くんですか(笑)苦手というか、牡蠣です。」
木村先生 「・・・・・・・・」
吉坊さん 「僕、断ち物をしていまして、嫌いではないんですが
_____牡蠣を絶ってるんです。」
木村先生 「・・・・・・・・。
_____中には、野菜と牡蠣が入っています。」
吉坊さん 「 笑 」
今回は、牡蠣が"鋳込まれ"ていました。
もちろん、吉坊さんは食べるのを我慢されていました。
今回のお噺は、仏像を磨き、茶碗を磨き、
磨けば高価なものが露わになるという内容。
「使う食材にも磨いて下処理するものを意識しました」と木村先生。
なるほど!!
ごぼうも牡蠣も、磨いて料理しますね。
料理は登場しなくても、鋳込んだり磨いたり
キーワードからこんな風に料理に転換するのはおもしろいですね。
「今回のようにポン酢をかけたり、単品で食べたら おでんだとわからないですね。」
「おでんは一緒に煮込んでいたらおでんなんです。」
「おでんは、好きなものも苦手なものも共存していて、
でも1つの料理として成り立っている。人もそうありたいですね。。。」
いいお話です。
では、そろそろお開きに・・・と席を立とうとしたら、
「実は、もう1つあるんです。」と木村先生。
「え?なになに??」
おもむろに、おでんの具材をすべて引き揚げ、
底に敷いていた昆布を取り出すと
なんと、鯛が!!
鯛まで"鋳込まれ"ていました!
「そりゃ、いいだし出ておいしいわ!」と吉坊さん。
木村先生の技に感服です。
もう一つ、本日発見したこと。
木村先生のネクタイにはかわいいトトロ柄が。
でも実は、過去の取材でもずっと色違いのトトロネクタイを着用していたそうです。
(気づけなくてスミマセン。)
ぜひ過去の記事もチェックしてみてください。
今回のレシピはこちら