『落語食堂 らくしょく』開店!(45日目)
毎日新聞夕刊(関西版)3/1(火)号に掲載されている『落語食堂 らくしょく』!
今回のお噺は、「天王寺詣り」。
愛犬のクロを死なせてしまった男が知り合いに誘われて
クロの供養にと彼岸の日に四天王寺に行く。
その道中の掛け合いがなんとも面白いお噺。
今回、お噺の世界観を料理で表現したのは、
日本料理の竹本正勝先生。
今回の料理について、
「犬をちゃんと供養してやらないとと思い、
殺生をしない精進料理にしました」と竹本先生。
さて、1品目は「蕪の風呂吹き」
「季節がよければ天王寺蕪を出したかったんですが...
でもクロは短命だったので滋賀の長寿蕪を使いました。」
と説明しながら、竹本先生自ら田楽味噌をサーブする。
「今回は寄り添い型で・・・」と大爆笑のお二人。
本来は味噌のコクを出すために卵を使うのですが、
今回は"殺生NG"のため、くるみペーストが入っています。
「お噺の舞台の四天王寺は辻調からも近いので
親近感がわきますね。」と、おもむろに竹本先生が差し出したのは...
「これ何といいますか?」
春の彼岸は、牡丹の花が咲く季節なので"ぼたもち"
収穫から半年たった小豆の皮が硬くなる頃なので"こしあん"で。
秋の彼岸は、萩が色づく季節なので"おはぎ"
小豆の新豆ができた頃なので"つぶあん"で。
皆さんご存知でしたか。
「彼岸の時の四天王寺の賑わいってすごいですよね。
昔の感覚というか、不思議な気持ちになります」と吉坊さん。
昔は、寺には絶えず人が集まり、物売りする人、物乞いする人、
施しもあって死ぬ人もいて... この情景が当たり前。
そんな名残が、彼岸の四天王寺には残っているという。
続いて、2品目は「鰻もどき」
精進料理らしく、木綿豆腐を揚げて
たれを付けたものです。
筋の入れ方がリアルですね。
「ん?? なんかごぼうの味がする。。。」
「すごい!鰻の泥臭さを出すために
ごぼうをすったものを入れています。」
竹本先生も気づいてもらえてうれしそう。
吉坊さん、さすがですね!
ちなみに、裏面には鰻の皮っぽく海苔があしらわれています。
3品目は、「精進揚げ」
何やら吉坊さんが覗き込んでいます。
その視線の先は・・・
竹本先生、どうやら目の前で揚げてくれるようです。
割烹スタイルの醍醐味ですね。
「蕪は名残のものだったので旬なもので」と
たけのことわかめの天ぷら
「うわっ!めっちゃ春や」と吉坊さん。
やわらかくもなく、硬くもなく、
この時期独特の食感が楽しめるようです。
「根元と穂先の両方で食感の違いを楽しんでください。」
そしてそして、お噺の中にも登場する "弘法の支え書き"
からの、
"ごぼうのささがき" 揚げが登場。
いち早く "弘法の支え書き" の
シャレ料理だと気付いた吉坊さんに、
竹本先生「よく気づいてくれましたね。
なんで?って言われたらどうしようかと。」
「一応プロですから(笑)」
「あのしょーもないボケを甚兵衛さんが
全部拾っていくすばらしさ。」
とテンポのよいお噺を吉坊さんが解説してくれました。
山菜らしい苦みを残したたらの芽、
胡麻豆腐に蓬を練り固めた湯葉巻きを経て、
最後に、これ。
何でしょう??
梅干しの天ぷら。
「うわぁ すっぱい!」
また絶妙な、いいお顔をしてくださいました。
「精進料理を食べるということは
本当の意味で欲は抑えられてないですよね」と言いながら
ほんまもんに近づける精進料理に重ねて、
「僕らもそこにいない登場人物が
あたかもそこにいるかのように息を吹き込む。
そこは共通している気がします」と吉坊さん。
本日もよいお話をありがとうございました。
<おまけ>
今回の精進揚げで大好評だった塩。
竹本先生が特別に用意してくれました。
左は柿の種+塩、右は山椒+塩
フードプロセッサーでザーッとかき混ぜれば出来上がり。
ぜひ試してみてください。
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