【オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール】2023年日本大会 本校学生がグランプリに輝く
2023年10月7・8日、北海道室蘭市・北斗文化学園にて開催された第2回【オリヴィエ・ローランジェ国際料理コンクール】日本大会において、辻調理師専門学校の学生が優勝いたしました。
本コンクールはエシック・オーシャン、ディナール・イヴォン・ブールジュホテル高等専門学校、フェランディ・パリ校、ルレ・エ・シャトー協会が海洋資源の保護を目的とし、2011年にフランスで創設されたものです。大会の主なる目的は、若い世代のシェフたちに海洋水産資源の脆さを伝えつつ、乱獲されていない魚介類を選んでもらい、海洋水産資源の保護に自らが果たせる役割を体験させること。日本大会では、国内の調理学校の在校生がエントリーの対象となります。
《グランプリ》
Petereit Nikolaus(ペーターライト ニコラス)さん
辻調理師専門学校 調理技術マネジメント学科1年生
2023年度のテーマは「持続可能な魚種」。実技試験では、持続可能な海産物の中から一つの魚種を選び、レストラン向け料理(制限時間2時間30分)、家庭向け料理(制限時間30分)の計2品を調理し、調理技術、および味と盛りつけが審査されます。その後、使用した食材について、口頭プレゼンテーションにてそのサステイナビリティを論証します。
●実技試験「レストラン向け料理」の解説●
使用主食材:瀬戸内のカキ、明石の鯛
課題魚種であるMSC認証のカキを蒸して、明石の鯛で巻いて焼きました。ソースは、鯛のアラでとっただしを使い、すだちの風味を忍ばせたブール・ブラン。さらに、すだちと青ねぎのオイルを散らしました。様々なあしらいのうち、特筆すべきは青ねぎの根を揚げたもの。食材すべてを無駄なく用い、サステイナブルというコンセプトを皿の中で表現しました。
●受賞のコメント●
この度は栄誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。海洋水産資源のサステイナビリティは、料理に携わる者にとって避けては通れない喫緊の課題です。このコンクールに挑戦したことで、実際に自ら進んで産地に足を運び、時間をかけて深く学び、そして料理に向き合うという経験を得ることができました。それまで興味止まりだったことに対して、真剣に取り組むモチベーションとなり、チャレンジして良かったと思います。
カキをメインに据えたのは、元々環境に優しい生態であることから。今回用いた岡山県邑久町の邑久かき(虫明かき)はMSC認証を取得しており、水産資源や海洋環境に配慮し、適切に管理されていることが特に認められた水産物です。マルト水産さん、および邑久町漁業協同組合の漁師の皆さまには、手厚いサポートをしていただきました。持続可能なカキ漁の取り組み、垂下式カキ養殖の説明、工場の見学や、船で養殖場に連れて行ってくださったり、コンクールの練習用に融通してくださったりなど本当によくしていただいたので、グランプリという報告ができて嬉しいです。
料理については、魚種さえ守れば後は自由なのですが、フリーであるからこその難しさがありました。時間制限がある中での真剣勝負を、現場のプロの方から評価されるのは貴重な機会です。今思うと、志を同じくする業者さんや、審査員の皆さん、そして他校の挑戦者である学生たちと出会えたのが一番だったと思います。戦うというより、同じ目的のもと共に貢献していこうという一体感がありました。また、優勝者として東京サステナブルシーフード・サミット2023に招待された折には、発言の機会を持つことができたので、人との繋がりがさらに広がったと思います。
今回の挑戦では、消費者と生産者を料理でつなぐことができる「料理人の力」を実感することができました。大切に育てられた産物を、料理人は理念ごと預かっておいしい料理に仕立て、消費者に食べてもらう。漁業組合の方が、「自分たちが作った産物が、どんな料理に仕立てられるのかを見られたのが一番うれしい」と言ってくださったことが忘れられません。
コンクールは大変な経験でしたが得るものは非常に大きかったので、チャンスがあれば必ずまた挑戦したいと思います。最後に、遅い時間までずっと練習に付き添ってくださった担任の片山祐子先生と村島弘樹先生に、心より感謝いたします。
審査員のL'Effervescence(レフェルヴェソンス)オーナーシェフ生江史伸氏との記念の一枚