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【追悼 ポール・ボキューズ氏】「私にとって人生は美しい。」偉大な料理人からのメッセージ

お知らせ

2018.01.28

ポール・ボキューズさん。
世界は、精神的な父であるフェルナン・ポワンのあとを継ぎ、現代フランス料理を牽引してきた偉大な「父」を失いました。

フランス料理が世界に冠たる存在であり、ご自身がその中心にいるという圧倒的な自信があったからこそ、他の料理や新しい料理を排除することなく、フランス料理の扉を世界に開け放って、次代の才能を生み出す肥沃な土壌を作り上げられた、という意味で、本当に大きな存在だったと思います。

まさに、フランス文化の豊かさを体現した方でした。

輝かしいフランス料理の伝統にひそむ本質をゆるがせにせず、いっぽうで、新鮮で上質な食材、軽くしたソース、今まででは考えられなかった味覚を追求されました。あくなき革新への挑戦は、味覚だけではなく、視覚的にも料理に新たなイマジネーションを与え続けました。

ヨーロッパにとどまらず、革新の世紀の先頭を走って来たアメリカにおいても、20世紀最大のシェフと賞賛されたことが、ボキューズさんの影響力の大きさを如実に語っていると思います。

世界各地の多様な食文化と料理技術へのリスペクトと、深い理解があったからこそ、フランス料理の持つ普遍的な力を、誰よりも最も効果的に世界中に示すことができたのでしょう。

2012年の夏にボキューズさんにインタビューをさせていただきました。
料理の歴史の中で、生き抜いていくためにいかに技術革新が大事なことなのか。そのために重要なことは、日本的に言えば、ひたすら「精進」していくしかない、ということ。それが、インタビューの最後にこれから料理人をめざす若い人たちへのメッセージ、「働け、働け、働け」。
これに尽きるのだと思います。

「生まれ変わったら、また料理人になる人生を選ぶだろう。この職業が私にすべてをもたらしてくれました」。そして、「私にとって人生は美しい」と、おっしゃったボキューズさんの言葉は、これから、料理の世界をめざす若い人たちへの大切なメッセージとなりました。

創設者・辻静雄との出会いから50年間、われわれの学校の心の支えであったのがボキューズさんでした。
料理の技術教育を通して、微力ながらも一生かけて恩返しをさせていただきます。

merci
Love Yoshiki

辻調理師専門学校 校長 辻 芳樹