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北京料理、上海料理、四川料理、広東料理、点心と5つのジャンルを、それぞれ担当の厨師(料理人)、点心師(点心専門家)が、中国での体験を交えながら料理の作り方とそれにまつわる話を紹介します。まずは、基本的な料理から始めましょう。 |
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大滷麺 |
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拉麺は練った小麦粉の生地を両手でもってのばしていきます。1本が2本、2本が4本となり、16,384本までのばせた人を知っています。台湾の来来拉麺店のご主人、張鴻ユ(山冠に兪)さんです。1996年10月、台湾からとっても有名なシェフが来られるというので、その日は学校内に緊張した雰囲気が漂っていました。張さんは、亞都大飯店「天香楼」の邱平興料理長と一緒に来校されたのですが、当時、ギネスブックにものっていたとか。「19歳から厨房の仕事を始めて、今年で58歳。若い頃は仕事が忙しいので、師傅に教えてもらう時間もなく、尋ねると却って怒られたものです。それで、そっと師傅の技術を盗み見て勉強したのです。」そして、「今日の刀削麺は簡単にできるようになるでしょうが、拉麺はむつかしいです。でも、先生と一緒にしばらく練習するとできるようになりますよ。」と話されていました。
刀削麺は練った生地を弓なりになった包丁で削って鍋に入れていきます。削った麺は弓なりの形をしていて、均一の厚さ、大きさに仕上げるのがポイントです。拉麺ほどではないですが、これもなかなか技術が要ります。
3日間講習会をされたのですが、毎日、学校の近くの店で色々な種類の小麦粉を買ってきて練り、試されてから、どの小麦粉をどのように練ると一番よい状態になるかを把握されて、最終日に細くのばした麺を針の穴に見事通され、講習会は大いに盛り上がりました。「実は、針を数本持っていて、麺の太さを見てどの針にするか決めるのだ。」と、いたずらっ子のような顔をして内緒話をされていたのでした。細くのばした麺は龍のヒゲのようだというので、「龍鬚麺」と呼ばれます。ゆでるとくっついてしまうほど細いので、油で揚げ、砂糖をかけたり、あんをかけたりして食べます。
太い生地が糸のように細くなる、まるで手品のようでした。それからしばらくは、校内で麺をのばすのが大流行でした。私もチャレンジしましたが、粉の状態が悪かったり、練り方が足りなかったりなど、なかなか上手くいきません。すごい技術だったのだとつくづく思いました。
一方、広い中国では簡単に麺がのばせる魔法の粉があるのです。シルクロードの通過点の一つ、蘭州で使われている「蓬灰」がそうです。ヨモギの類の灰で、これを使うといとも簡単に麺をのばすことができるのです。この麺を使い、牛肉を具材にした蘭州牛肉麺の屋台が中国各地の街ででています。ただし、真偽のほどは分かりませんが、人体に有害な物質が含まれているとかいわれ、「蓬灰」は日本では売られていません。 |
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台湾、蘭州ときて、次は香港の話です。香港に行ったのは3年前のことです。たまたま入った麺屋さんでは麺が3種類ありました。普通の麺とすごく細い麺とビーフンです。香港の昔ながらの麺は日本のものに比べると細くて硬めです。この極細麺はかん水臭いという欠点はあったのですが、コシがあって私好み。でも、3種類の麺とも味わいたかったので、4泊5日の旅行なのに、その店に3回も通ってしまいました。さすがに、4回目は「やめてほしい。」といわれましたが。初めての海外旅行、しかも、香港!!!嬉しくて嬉しくて。朝から食べ歩き、お茶を飲み、調理器具を見て、ご機嫌でホテルに帰るのですが、私は落ち着かなくて、10時に寝てしまう旦那さんをおいて、夜な夜な町をうろついていました。屋台では鶏蛋仔(卵のワッフル)がお気に入り、ほかにスターフルーツやマンゴーのジュースを飲み、マンゴスチンやスイカを食べ、「やっぱり香港は果物が美味しい。」と思いつつ、次の日に備えて足裏マッサージも欠かせませんでした。香港の夜は長く、夜中までお店や露店は開いていて、不夜城のようで、夜景は最高です。
日本に帰ってから、一人で出歩いていたというと、皆から「二人で出掛ければよかったのに。」といわれました。 |
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さて、今回は麺料理。中国語で大滷麺または打滷麺と書く「北京風あんかけ麺」は、冷めにくく身体を温めてくれるので、寒さの厳しい北京の冬の家庭料理として知られています。麺の食感としてはうどんのようにもちもちしています。そこで、より本場の味に近づけるために、中華麺ではなく、稲庭うどんを使ってみました。実は、あの日、張さんは刀削麺を使って大滷麺を作られたのでした。ギネスの張さんに味で挑戦? |
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