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北京料理、上海料理、四川料理、広東料理、点心と5つのジャンルを、それぞれ担当の厨師(料理人)、点心師(点心専門家)が、中国での体験を交えながら料理の作り方とそれにまつわる話を紹介します。まずは、基本的な料理から始めましょう。 |
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ゴマ団子を初めて美味しく食べたのは何時だったかな。今はもう絶版となってしまいましたが、『点心と小菜』の本の撮影に参加したときでしょうか。20年以上も前の話です。皆若くて喧嘩ばかりしていたような気もしますが。でも、M先生の監督の下、一丸となってこの本のために点心を作っていました。元気一杯だったのですが、徹夜続きで、さすがに疲れていたのでしょうか。著者でもあり、中心的役割を果たしていたY先生が材料を切るときに包丁を持ったまま眠ってしまったという有名なエピソードのほかに、教壇の下の棚にダンボール箱を敷いて仮眠していたK先生、トイレで安眠をむさぼっていたY先生、豚の骨をたたきわっている最中に突然眠気に襲われ、豚とまちがえてうっかり自分の手を切ってしまったN先生を思い出す。そういう僕も、美味しく焼けた鴨を運ぶ途中の階段でつまずいて落としてしまったなぁ。今はこんなことは考えられないですが、僕にとっては青春グラフティ、懐かしい青春時代の一コマです。
その日の撮影が終わったときにまん丸で香りがよく、外がサクサク中は柔らかいあずき餡のゴマ団子を食べて美味しかったと今の今まで思っていたのですが、本を開いてみてゴマ団子を撮っていないことに気づいて愕然としました。人間の記憶っていいかげんなものなんですね。 |
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2000年に開かれた第3回中国料理世界大会に、日本代表として参加しました。残念ながら、銀賞でしたが、一生懸命取り組めたと思います。「地球的生機(地球のいぶき)」という作品です。中国、シンガポール、マレーシアなど世界各地から優秀な人が集まるのだから、普通のものを作っても賞をもらえない。中国を残して新しいものを考えていた。机の前に座っていても思いつかないので、何かヒントはないかと毎日近くの公園を歩いていた。松の種、紅葉の種をイメージした石のオブジェを見て閃きました。世界大会→地球→大地→植物→生物、生物といっても可愛くて点心で形作れるもの。頭の中に蜂が浮かびました。中国の古典的なテクニックである飴がけ(抜絲)。マカデミアナッツに飴がけして蜂の顔。中国の折り込みパイ生地はシナモンパウダーとココアパウダーで縞模様にして蜂の胴体。中国の人は未だ手をだしていないと思われる西洋のパスティヤージュと飴細工で美しい光沢をつけて背景にし・・・。頭の中でどんどんイメージが膨らんでいく。これで「できた!」と思いました。
以前からチャレンジしてみたかった飴細工でしたが、実際に作ってみると当日暖かかったこともあり、難しくて大変でした。 |
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中国料理は最近、大皿盛りからワンポーションに移ってきました。点心も変わってきました。可愛く精巧に作った点心を一人用の皿に数種類盛り合わせます。西洋の影響からか、冷たいもの、デザートに重きをおくようになり、軽くヘルシーなものが求められています。
でも、思うのです。流行は時計の振り子のように動いています。中国のよさが見直され、向うからこちらに戻ってくるのではと。やっぱり、中国のデザートは杏仁豆腐(前回参照)とこの麻球ですよ。 |
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